英閣僚、重要鉱物サプライチェーン強化に向け、モンゴル訪問

(英国、モンゴル)

ロンドン発

2023年11月10日

英国のナス・ガニ・ビジネス通商省国務相は10月30日、重要鉱物サプライチェーンの強化に向け、鉱物資源の豊富なモンゴルを訪問。同国のチメド・フレルバータル副首相兼経済・開発相、ジャムバル・ガンバータル鉱業・重工業相と会談したほか、企業関係者を訪問した。資源開発の調査と採掘事業に重点を置き、同国の重要鉱物サプライチェーンにおける英国企業のビジネス機会を探った。

ガニ氏は訪問中に、再生可能エネルギーや重要鉱物のサプライチェーンに関わる分野の英国の能力、英国輸出信用保証局(UKEF)による大規模インフラプロジェクトの支援の可能性についても宣伝した。

ガニ氏は英・オーストラリア資源大手のリオティントの代表者とも会談。リオティントはモンゴル政府と協力し、同国のオユトルゴイ鉱山に約160億ドルを投資。会談では、重要鉱物に関わる英国企業が同社による投資を活用する手段を議論した。

歳入関税庁(HMRC)によると、両国の2023年1~8月の貿易額(財)は2,104万ポンド(約38億9,240万円、1ポンド=約185円)。このうち英国からの輸出額は1,560万ポンド、英国への輸入額は544万ポンドで、英国の輸出超過となっている。英国からの輸出では、乗用車・その他の自動車(8703項)が輸出額の約半分を占める。英国への輸入は繊獣毛および粗獣毛(5102項)が7割を占めている。

鉱物安全保障パートナーシップ会合をロンドンで開催

これに先立つ10月10日、公正な鉱物サプライチェーンに対する投資促進に特化した鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の会合が初めてロンドンで行われた。英国とモンゴルのほか、オーストラリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、インド、イタリア、韓国、ノルウェー、スウェーデン、米国、EU、ブラジル、インドネシア、カザフスタン、南アフリカ共和国、ザンビアといった鉱物資源の供給国と需要国の政府と民間セクターが参加。会合を通じて、重要鉱物のバリューチェーン全体でより多くの採掘、加工、リサイクルプロジェクトを協力して加速するとした。

MSPが支援しているプロジェクトとしては、上流での採掘・採鉱、中流での加工、リサイクル、回収活動などが挙げられる。うち、リサイクルに関しては、英国企業ハイプロマグ(HyProMag)も参画している。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、モンゴル)

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