ジェトロ、ウクライナ復興支援ビジネスネットワーキングを開催

(ポーランド、ウクライナ、日本)

ワルシャワ発

2023年11月27日

ジェトロは11月21日、日本の経済産業省およびポーランド投資・貿易庁(PAIH)との共催で、在ポーランド日本大使館の協力の下、ウクライナ復興支援ビジネス機会の捕捉を企図する日本企業とポーランド企業の連携を促すため、ビジネスネットワーキングを開催した。本イベントは、2023年5月にジェトロとPAIHの間で締結した覚書(MOU)(2023年5月12日記事参照)にある「ウクライナ復興支援に関する両国間の協力と日本企業の活動促進への貢献」のための具体的なアクションの1つでもある。

参加者は、総勢で約80人だった。日本企業からは商社、エンジニアリング、開発コンサルタント、エネルギー、IT、化学や素材のスタートアップなどから約40人、ポーランド企業からはエンジニアリング、建設資材、空調、浄水、電力、ロジスティクスなどの分野から約20人が参加した。そのほか、日本とポーランド両国の政府関係者、欧州復興開発銀行(EBRD)が参加した。

講演に先立ち、PAIHのパベウ・クルタシュ長官、続いて宮島昭夫駐ポーランド大使が開会あいさつを行った。基調講演では、岩田和親経済産業副大臣が2024年2月19日に開催予定の日ウクライナ経済復興推進会議に向け、両国企業間の連携の加速化に期待を寄せた。ヤドビカ・エミレビッチ・ポーランド・ウクライナ開発協力担当政府全権代表は「ウクライナ支援は、戦争の終結を待っていてはいけない」と、行動に移すことの重要性を強調した。

参加した日本企業からは11社が、ウクライナでの活動や復興ビジネスの戦略、技術提案などについてのピッチを行った。その後のネットワーキングを通じて、両国の参加企業は、協業によるウクライナ復興支援ビジネスの可能性を探っていた。

また、ウクライナ復興支援ビジネスにおける日本企業とポーランド企業の協業のモデル事例として、グリーン水素の生産に適した技術統合・システム設計を手掛けるポーランド企業ヒンフラ(Hynfra)の創業者で最高経営責任者(CEO)のトモホ・ウメダ氏が、日本のスタートアップつばめBHBとウクライナのエンジニアリング企業ユーテムと協力して参画するグリーン産業ゾーンプロジェクト(注1)を紹介した。同氏は、ウクライナの暖房・エネルギー分野の課題解決の重要性について説明し、参加企業の関心を集めていた。

ネットワーキングに先立ち、石賀康之ジェトロ・ワルシャワ事務所長が閉会スピーチを行い、日本企業との協業を支援するジェトロのプラットフォーム「J-Bridge(注2)」の活用をポーランド企業に推奨した。

参加企業からは、「ウクライナへの入国が難しい日本企業にとって、ポーランド企業とのマッチングの機会は有益だった」「このようなイベントを継続的に開催してほしい」「ウクライナ支援ビジネスへの参入を急ぐ必要があると認識できた」といった声が聞かれた。

写真 パベウ・クルタシュPAIH長官によるオープニングスピーチの様子(ジェトロ撮影)

パベウ・クルタシュPAIH長官によるオープニングスピーチの様子(ジェトロ撮影)

写真 ネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

ネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

(注1)太陽光や風力発電由来の再生可能エネルギーから水素やアンモニアを製造し、電力や燃料、肥料などとして使用する地産地消型の脱炭素プロジェクト。

(注2)「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)」は、ジェトロが実施する日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。

(柴田紗英、柴田哲男、石賀康之)

(ポーランド、ウクライナ、日本)

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