デング熱が過去最多の発生状況、気候変動が影響か
(バングラデシュ)
調査部アジア大洋州課
2023年11月20日
バングラデシュで、デング熱が引き続き猛威を振るっている。
複数の専門家は「気候変動による気温の上昇と長引く雨期がデング熱を媒介する蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)にとって理想的な繁殖状況をもたらし、2000年に保健省保健サービス総局(DGHS)がデータの記録を開始して以来、最多のデング熱の発生を招いている」との見解を示しているという(「ロイター通信」11月14日付)。
DGHSのデータによると、11月はこれまでに1万7,396人が感染し、病院で治療を受けているのは6,208人、退院者は28万904人に上る。2023年のデング熱による死者は17日時点で1,460人、感染者の総計は28万8,572人で、死者は前年の281人を5倍以上も上回っている。都市別統計では、ダッカ管区が群を抜いて多く、第2都市のチョットグラム市が続く。
厚生省の予防接種技術諮問グループの元メンバーのベナジール・アフメド博士は「デング熱は今や年間を通じた脅威になっており、蚊の駆除活動には時間を要する」と述べている(「デーリー・スター」紙11月12日付)。
対策としては、長袖と長ズボンを着用の上、肌の露出を避けて蚊に刺されないことや、殺虫剤を使用して室内の蚊を駆除すること、睡眠時などに蚊帳を活用することなどが挙げられる。
(注)バングラデシュ疫学研究所のウェブサイトから、過去のデング熱の発症数を確認することができる。
(寺島かほる)
(バングラデシュ)
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