ジェトロ、山東省で高齢者産業市場を開拓

(中国、日本)

青島発

2023年11月01日

ジェトロは10月19~20日、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)山東省委員会と共催で、山東省の青島市と濰坊市で「日中高齢者産業交流会」を開催した。交流会には、中国に進出している日系企業の介護施設運営コンサルティングや、人材育成、疾病予防対策、リハビリ機器販売・レンタル、介護用品、介護食などの分野の13社が参加した。

交流会は関連政府部門との座談会と企業ごとの個別商談会の2部構成で実施された。商談会に参加した中国企業数は青島市が49社、濰坊市が36社、商談件数は青島市が110件以上、濰坊市は50件以上だった。

座談会では、高齢者事業を担当する民政局、医療健康や医養結合(注)事業を担当する衛生健康委員会、長期介護保険制度を担当する医療保険事業センターなどの各市政府部門が所管業務についてそれぞれ説明した。紹介によると、両市の政府とも、土地や税制面などで多くの優遇政策を用意しており、養老施設の建設・運営、介護人材育成に高額の補助金を出している。また、医養結合について、青島市で医療と介護の両資格を持つ施設「医養結合機構」は168カ所あり、ベッド数は3万4,260床と、中国内でも上位に位置するほか、青島市に所在する養老施設の90%がさまざまなかたちで高齢者に医療サービスを提供している。さらに、長期介護保険制度について、青島市は中国の他都市に先駆けて2012年から試験的に導入しており、2016年には同制度の試行都市に選ばれ、要介護高齢者に対する同制度の実践、推進をしている。その後も、重度認知症高齢者を長期介護保険の保障範囲に含めたり、医療介護だけではなく生活介護も給付の範囲に含めたりしたほか、企業の従業員以外の住民にも同制度を適用するなどの継続的な改革を行なってきた。同制度の利便性を高めるため、青島市は保険財源資金の管理や、要介護レベル評価、介護リソースの配置、介護スキル研修などについて、特に力を入れて政策を整備している。現在、同市では長期介護保険制度の適用対象となる介護機構は1,093カ所、給付された資金は累計で47億元(約940億円、1元=約20円)に達し、10万人以上の要介護、認知症高齢者が同制度の恩恵を享受してきた。

今回のイベントに参加した日本企業からは、「現地の関連政策などの情報を入手し、新規取引先も開拓でき、今後の市場方針を定めていく良い機会となった」「座談会を通じて関連政府部門に直接アプローチでき、自分の質問にも専門的な回答をもらえた」といったコメントが寄せられた。

山東省では2022年時点で65歳以上の人口が省別で中国国内1位の1,699万人に達し、同省と省内各市の政府は介護サービスや器具などの供給を充実させる必要に迫られている。このため、山東省政府、関連企業は日本企業との連携に引き続き大きな期待を寄せている。

(注)医療と高齢者介護の連携、一体化を指す。

(董玥涵)

(中国、日本)

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