チップイノベーション法案を閣議決定、予算規模は10年間で1兆4,100億円

(台湾)

調査部中国北アジア課

2023年11月07日

台湾行政院は11月2日、半導体のイノベーションを促進する「チップイノベーション法案」(以下、同法案)を閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法案は、国家科学技術委員会、経済部、教育部、衛生福利部、農業部、デジタル発展部、国家発展委員会が共同で提出し、対象期間は2024~2033年の10年間、総予算は3,000億台湾元(約1兆4,100億円、1台湾元=約4.7円)。2024年からの5年間を第1期と位置づけ、2024年にはこのうち120億台湾元を投じる。

陳建仁行政院長は「生成AIの勃興に伴い、チップは既に世界の科学技術産業の核心で、次の工業革命の鍵となる技術だ。未来の関連産業のチャンスと挑戦に対応するため、部署横断的に同法案を提出した」と述べた。同法案のポイントは次の4点。

  1. 台湾内外の企業もしくは学術研究機構がチップと生成AI技術を利用し、各産業においてイノベーティブなソリューションを発展させることを奨励する。
  2. 半導体の設備と教材をグレードアップすることにより、台湾を世界で最も優れたチップ人材の育成環境とし、各国から半導体技術に関心のある優秀な学生を呼び込む。
  3. 産学の研究開発をサポートし、ヘテロジニアスインテグレーションおよび先進製造技術の開発を加速させる。
  4. 将来的なスタートアップおよび資金面での需要の高まりに対応するため、世界のスタートアップおよび関連投資機構に対し台湾への投資を誘致する。

行政院政務委員兼国家科学委員会国家科学技術委員会の呉政忠主任委員は、同法案の対象には外資企業も含まれるが、外資企業の場合は投資に際して一定の条件を課すことになるだろうと述べた。

台湾では2023年1月から半導体を含む先端技術の研究開発を後押しする台湾版CHIPS法を施行しており(2023年1月16日記事参照)、同法案はこれに続く措置となる。

(注)CPU、メモリー、センサーといった異種デバイスを一体化してパッケージングする。

(江田真由美)

(台湾)

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