米エネルギー省、クリーンエネルギーサプライチェーン強靭化へ旧石炭コミュニティー支援発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年11月28日

米国エネルギー省は11月27日、クリーンエネルギーのサプライチェーンの強靭(きょうじん)化を図るべく、全米9つの旧石炭コミュニティーでの7社のプロジェクトに対して、2億7,500万ドル規模の支援を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この取り組みは、バイデン政権の掲げるサプライチェーンの強靭化と家庭向けのコスト削減に関する取り組み強化の一環として位置づけられ(2023年11月28日記事参照)、炭鉱や石炭火力発電所の閉鎖の影響を受けた地域社会の活性化を併せて狙うものだ。採択された企業とプロジェクトの概要は次のとおり。

(1)アルペン・ハイパフォーマンス・プロダクツ(補助額580万ドル)

コロラド州ルイビル、ペンシルべニア州バンダーグリフトにある既存施設を改修し、窓用の超薄型3層・4層断熱ガラスユニットを製造する。同社生産量の10倍増、100件の雇用創出、エネルギー使用量と家庭の冷暖房費の削減が期待される。

(2)ボストン・メタル(補助額5,000万ドル)

バージニア州ウィアトンに新施設を建設し、クリーン電力、燃料電池、グリーンスチールのサプライチェーンに必要な超高純度金属クロムと高温合金を製造する。ハイテク関連で200件の雇用創出が期待される。

(3)カーター・ウインド・タービン(補助額2,000万ドル)

テキサス州バーノンに新施設を建設、300キロワット(kW)クラスの中型タービンの生産を拡大し、遠隔地、農村部、険しい地形での風力発電のアクセスを改善する。300件の雇用創出が期待される。

(4)コアパワー・マグネティックス(補助額2,000万ドル)

ペンシルべニア州ピッツバーグにある旧石炭火力発電所を改修し、電力網と電気自動車(EV)に用いられる変圧器とモーター用のアルモファス金属と磁性部品を年間1万トン製造する。米国のこれら素材の生産量を20%引き上げるとともに、25~50件の雇用創出が期待される。

(5)ナノラミック・ラボラトリーズ・ファストキャップ・システム(補助額4,750万ドル)

コネチカット州ブリッジポートに新施設を建設し、2ギガワット時(GWh)のリン酸鉄リチウムバッテリー電極を製造する。全米の同材料の供給ニーズの20%を満たし、200件の常勤雇用の創出を目指す。

(6)ラックスウォール(補助額3,170万ドル)

ミシガン州デトロイトに新施設を建設し、建物の改修に使用される最もエネルギー効率の高いオプションの1つの真空断熱ガラス窓ユニットを製造する。277件の雇用創出が期待される。

(7)MPアセット・コーポレーション(補助額1億ドル)

EVのサプライチェーンにとって不可欠なリチウムイオン電池セパレーターを製造するプロジェクトをバージニア州で立ち上げる。282件の常勤雇用の創出が期待される。

(加藤翔一)

(米国)

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