第3四半期は輸出入とも前年同期比減、自動車輸入が低迷

(チリ)

サンティアゴ発

2023年11月27日

チリ中央銀行が11月23日に発表した資料によると、2023年第3四半期(7~9月)の貿易(通関ベース)は、輸出額(FOB)が前年同期比6.7%減の222億8,100万ドル、輸入額(CIF)が20.2%減の219億200万ドルで、貿易収支は3億7,900万ドルの黒字だった。

輸出を品目別にみると、構成比57.1%を占める鉱産物は前年同期比6.1%減の127億1,900万ドルだった(添付資料表1参照)。銅は、銅カソードと銅鉱石、銅精鉱が前年同期比でわずかに増加したもの、全体では0.7%減だった。関連して、第3四半期の銅の国際価格平均は前年同期比8.0%増の1ポンド当たり3.79ドルだった。非金属の炭酸リチウムの輸出額は前年同期比41.0%減と大幅に減少した。一因として、主なリチウム供給先の中国の経済停滞による需要減に伴うリチウムの価格低下が挙げられる。

農林水産物は前年同期比3.8%減の9億2,900万ドルだった。主な輸出果物のサクランボ、ブルーベリー、ブドウの収穫時期ではない第3四半期は、リンゴやキウイが輸出されたが、それぞれ前年同期比で2桁減となった。

工業品は前年同期比7.8%減の86億3,400万ドルだった。主な輸出品のサーモンは同4.7%減、ボトルワインは同25.0%減となった。鶏肉の輸出は63.8%減で、これは3月にチリ国内の養鶏所で鳥インフルエンザ発生が確認されたことで、鶏肉輸出を一時的に停止したことが影響している(2023年3月17日記事参照)。なお、チリ政府は8月22日付で、チリは家禽(かきん)の鳥インフルエンザ清浄国と発表している。

輸入を品目別にみると、国内の経済活動が停滞したため、中間財、消費財、資本財の全てで前年同期比2桁減となった(添付資料表2参照)。中間財はエネルギー製品や化学製品、金属製品の輸入減が影響した。消費財は、衣類や履物の輸入減に加えて、国内の新車販売の減少により自動車の輸入が前年同期比34.1%減だった。資本財は、トラックと牽引車の輸入が減少し、構成比率の高いその他の機械も1.0%減だったため、前年同期比12.9%減となった。

輸出を地域別にみると、米州とアジア向けはそれぞれ前年同期比7.8%減、7.1%減だったが、欧州向けは1.5%増となった(添付資料表3参照)。輸入は、米州、欧州、アジアの3地域からが前年同期比で減少した。

輸出入を主要国別にみると、チリにとって輸出入ともに第1位の貿易相手国の中国は、銅や炭酸リチウムなどの鉱産物輸出が減少し、携帯電話や自動車などの消費財の輸入が減少した。対日輸出も銅や炭酸リチウムが減少した。対日輸入では前年の同時期にあった燃料の輸入がなくなったため前年同期比減となったが、日本からの自動車の輸入は増加した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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