香港フィンテック・ウイーク開催、ジャパンパビリオン設置

(香港、日本)

香港発

2023年11月15日

「香港フィンテック・ウイーク2023」が10月30日~11月5日にハイブリット形式で開催された。大手金融機関やフィンテック・スタートアップ企業が多数出展したほか、フィンテックに関する取り組みや規制について、パネルディスカッションなどを通じて議論された。

香港政府系研究開発施設の香港サイエンスパーク(HKSTP)は、同パークに入居している企業が出展するパビリオンを設置したほか、パビリオン内にビジネスマッチングゾーンを設けた。HKSTPの担当者によると、「HKSTPがパビリオン内にビジネスマッチングゾーンを設けるのは今回が初めてとなる。事前に予約すれば、会期中に事業マッチングの時間を確保することができる」という。

日本からは6社のフィンテック企業がジャパンパビリオンに出展した。会期中は多くの来場者が日系のフィンテック企業のブースを訪れ、その場で商談をする姿も見られた。ジェトロは現地のアクセラレーターなどと提携し、日系スタートアップの香港展開を支援する「ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ(GAH)」事業を実施している。ジェトロが同事業で支援しているアスエネは今後の方針について、「香港フィンテック・ウイークはアジアで最大規模のフィンテックイベントだ。今回の出展をきっかけに金融機関との連携をさらに強化し、グローバルの金融セクター×サステナビリティーの動きを加速させていきたい」と述べた。また、ジェトロが支援を行うギンコも「今回のイベントを通じて、香港の市場調査や、現地の金融機関を含む多くの事業会社と新規事業に関するディスカッションを実施することができた。特に香港はブロックチェーン/Web3領域の事業創出に向けて政府主導で大きく動き始めており、弊社の同市場への事業進出の関連で、情報収集やパートナー開拓の重要な機会となった」と香港での手応えを語った。

香港、タイとの越境決済システム導入

香港金融管理局(HKMA)の余偉文総裁は基調講演で、12月4日から香港とタイとの越境決済システム「FPS × PromptPay QRコード決済」を導入すると発表した。香港市民がタイを訪れた際、800万店以上のPromptPay加盟店でFPS(注1)で決済が可能になるほか、香港を訪れるタイ観光客も、約5万店でPromptPay(注2)で決済が可能だ。

写真 GAH支援企業アスエネ(アスエネ提供)

GAH支援企業アスエネ(アスエネ提供)

写真 GAH支援企業ギンコ(ギンコ提供)

GAH支援企業ギンコ(ギンコ提供)

(注1)「ファスター・ペイメント・システム(FPS)」は、銀行と「Stored Value Facilities」と呼ばれるHKMAからライセンスを取得した事業者を連結する決済プラットフォーム。個人間銀行送金や、電子ウォレットへのチャージ、オンラインショッピングが可能。

(注2)「プロンプトペイ(PromptPay)」は、ID、携帯番号、銀行口座番号を利用した低手数料でデジタルチャネルを介して送金可能な電子決済システム。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港、日本)

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