2023年のダブルイレブン、アリババは海外顧客獲得を重視

(中国)

上海発

2023年11月22日

中国の電子商取引(EC)大手のアリババは11月12日、中国最大のECイベント「双十一」(ダブルイレブン、注1)期間中(10月24日~11月11日)の販売促進活動結果を発表した。販売量、参加した店舗、販売額などは前年比で増加した。

アリババの発表によると、ダブルイレブン開始日の10月24日に、アリババが運営する「淘宝(タオバオ)」のアプリを利用したユーザー数は前年同期比5%増の5億700万人だった。11月11日午前0時時点で、販売額が1億元(約20億円、1元=約20円)を超えたブランド数は402ブランドで、3万8,000ブランドの販売額が前年の2倍以上となった。また、ライブコマースを利用して販売額が1億元を超えた店舗数は38店舗、1,000万元を超えた店舗数は451店舗だった。

アリババは今回、海外からの注文に対する物流に力を入れた。アリババグループ傘下の物流企業の菜鳥(Cainiao)は、海外への輸出において「信頼性、正確性、安定性」を重点として掲げ、タオバオや同じくアリババが運営する「天猫(Tmall)」と協力して、送料無料の対象となる購入額の引き下げや、返品保証の適用といったサービスを打ち出している。2023年のダブルイレブンに先駆け、タオバオとTmallでは、重点市場と位置づける香港、マカオ、台湾、シンガポール、マレーシアにおいて、新しいクロスボーダーサービス「タオバオPLUS」のサービス(注2)を発表し、海外向けサービスを強化している。

コンサルティング会社アクセンチュアが11月9日に発表したダブルイレブンに関する調査報告書によると、ダブルイレブン開始から15年目となる中、消費者の期待は安い価格以外に、商品の品質やサービスレベルなどへの要求か高まっているという。そのうえで、流通取引総額(GMV)は産業の成長度合いを示す唯一の指標ではなくなり、マーケットインの時代に突入した、と指摘している。

(注1)中国の一大ECセールイベント。ダブルイレブンは11月11日を指す。アリババが2009年に「ネットショッピングを楽しむ日」として始めた。2009年の参加店舗数は27店舗だった。

(注2)タオバオPLUSには、香港、マカオ、台湾、シンガポール、マレーシアの5カ国・地域を対象に、送料無料の対象となる購入金額の引き下げや、税込み郵送、返品対象商品の無料ピックアップサービスをはじめとするさまざまな返品サービス、専属顧客サービスといった、消費者が安心して気軽なショッピング体験を楽しむためのサービスが含まれる。同プロジェクトには数億元が投入された。

(尹世花)

(中国)

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