サムスン電子の第3四半期業績、半導体部門の赤字額が縮小

(韓国)

ソウル発

2023年11月06日

サムスン電子は10月31日、2023年第3四半期(7~9月)の業績(連結ベース)を発表した。売上高は前年同期比12%減の67兆4,000億ウォン(約7兆4,140億円、1ウォン=約0.11円)、営業利益は77.6%減の2兆4,300億ウォンと、減収減益だった(全体と部門別の売上高は添付資料表1、営業利益は添付資料表2参照)。事業部門別では、半導体などのDS(Device Solutions)部門が世界的な半導体の不況により、営業赤字を記録した。しかし、前四半期に比べ、赤字額が縮小した。

第3四半期の部門別の業績は次のとおり。

(1)DX(Device eXperience)部門(家電、ITおよびモバイルなど)

MX(Mobile eXperience:無線通信機器部門)は、フラッグシップ新型モデルの販売開始により、売上高・営業利益ともに前期に比べ増加した。スマートフォン・タブレット・ウェアラブル新製品の好調な販売やフラッグシップモデルの割合拡大による販売単価の上昇が増収に結び付いた。

ネットワークは、通信事業者の投資減少により、北米などの主要市場で売上高が減少した。

VD(Visual Display)は、世界的なテレビ需要は前年同期と比べ減少したが、QLED(量子ドット)、有機EL、超大型などの高付加価値テレビの販売に力を入れたことで、プレミアム市場をリードし、収益性が大幅に改善した。

(2)DS(Device Solutions)部門(半導体など)

メモリーは、HBM(High Bandwidth Memory)やDDR5(Double Data Rate 5)などの高付加価値製品の販売拡大と、一部製品の販売価格上昇により、前期に比べ赤字額が縮小した。また、半導体市況は底打ちとの認識が広がり、部品在庫を確保するための顧客からの購買問い合わせが多数寄せられた。

システムLSI(大規模集積回路)は、主要需要先の需要回復の遅れや在庫調整により、業績は不振だった。

ファウンドリは、工場のライン稼働率の低下などで業績不振が続いたものの、高性能コンピューティング(High Performance Computing)を中心に四半期ベースで過去最大の受注を達成した。

(3)SDC(サムスンディスプレー)部門

中小型パネルは、主要顧客のフラッグシップ製品の販売開始に積極的に対応し、前期に比べ営業利益が大幅に拡大した。大型パネルは、歩留まり・原価改善などで赤字幅が縮小した。

サムスン電子は、業績発表に合わせ、第3四半期の設備投資実績を発表した。それによると、第3四半期の設備投資総額は11兆4,000億ウォン、内訳はDS部門10兆2,000億ウォン、ディスプレー7,000億ウォンなどだった。2023年通年では、過去最大の53兆7,000億ウォンに達する見込みとしている。

(李海昌)

(韓国)

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