商務部、外資系企業への差別的扱いの整理を指示

(中国)

北京発

2023年11月13日

中国商務部は11月8日、「中国企業と外資系企業の間にある不合理で差別的な待遇への整理に関する書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。国務院が8月に発表した外資誘致を強化するための24項目の措置(2023年8月15日記事参照)の徹底に向けた取り組みの一環とみられる。

整理の対象は、各地方政府や政府機関が発表した現行の法令・規定・政府文書・措置、各地方政府や政府機関傘下の事業単位(注1)、業務を主管する社会団体が策定した経営主体に関わる各種の措置となる。

商務部は各地方政府、政府機関、傘下組織が外資系企業への差別的な扱いを含む法規・政府文書・措置を整理した上で結果を公開し、商務部に報告するように求めているほか、同問題に関してウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどを通じた社会からの情報提供を呼びかけている。

書簡では次のとおり、具体例(注2)を挙げて整理の内容を明確にしている。

  1. 中国企業と外資系企業の平等な参入が認められている分野で、外資への制限的な措置の設定・採用により、外資系企業の事業活動に支障をきたすこと、または負担をかけること。
  2. 対象となる「ブランド」の制限、「外資系ブランド」を理由に外資系企業とその製品・サービスを排除・差別することや、関連政策の適用で外資系企業とその製品・サービスに対して追加条件を設けること。
  3. 所有形態の制限などを通じて、外資系企業の入札や政府調達活動への参加を排除・制限すること。
  4. 政策の実施で外資系企業への差別的な扱い。
  5. 事業単位、社会団体が行う経営主体に関係する業務で、外資系企業とその製品・サービスを排除・差別すること。
  6. 外資系企業への不合理で差別的な扱いを含む可能性のあるその他の規定や措置。

なお、在中国日系企業などで構成する中国日本商会の「中国経済と日本企業2023年白書」(2023年6月16日記事参照)では、公平競争の障害となっている各種制度の見直しなどを要望している。

(注1)国が社会的公益を目的とし、国家機関もしくは国有資産を利用するその他の組織を通じて運営する教育や科学技術、文化、衛生などの社会サービスを行う組織。

(注2)指摘されている外資系企業の差別問題として、次の具体例を挙げている。

  1. 行政許認可の申請で、より多くの書類や厳格な要求を求められる。
  2. 新エネルギー車の消費促進策で、中国ブランドの新エネルギー車を購入・使用する場合に補助金を支給すると規定する地方がある。
  3. プロジェクトの入札評価方法で、所有形態の採点項目(中国企業は1点、合弁企業は0.5点、外資独資企業は0点というかたちで採点するなど)を設ける業界団体がある。
  4. 奨励・補助金などの実施で、内部文書のかたちで実施細則を策定し、国有企業や民間企業にピンポイントで通知することにより、外資系企業が平等に支援策を享受できない。
  5. ある業界団体が事業者に対して評価を行い、登録マークを授与する権限を与えられている際に、明確な規定はないものの、実際には外資系企業からの申請は受理されなかった。

(張敏)

(中国)

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