習国家主席がバイデン米大統領と会談、軍事関連の意思疎通再開、AIなどで協力も

(中国、米国)

北京発

2023年11月17日

米国を訪問中の中国の習近平国家主席は11月15日(現地時間)、ジョー・バイデン米大統領と会談を行った(注)。

習国家主席は、両国関係は世界でも最も重要な2国間関係であるとし、両国が付き合わないということはできず、相手を変えようと考えることも現実的ではないとした。

その上で、地球は中国と米国の両国を受け入れることができ、それぞれの成功は互いにとってチャンスとした。また、中国には米国に取って代わる計画はなく、米国は中国を抑圧しようとしてはならないとした。

習国家主席は、相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンがこの50年間の中国・米国関係の中で生み出された経験であり、歴史上の大国の衝突による啓示でもあるとして、両国がともに努力すべき方向でもあるとした。

その上で、今回の会談を契機として打ち立てるべき「5つの柱」として、共同で(1)正確な認知を打ち立てる、(2)意見の違いを効果的に管理・コントロールする、(3)互恵的協力を推進する、(4)大国としての責任を負う、(5)人的・文化的交流を促進するという5点を挙げた(添付資料表参照)。

また、米国による輸出管理、投資審査、一方的制裁などが中国の正当な利益を著しく損ねているとし、中国企業に公平・公正・無差別な環境を提供するよう期待するとした。

台湾問題については、米国が「台湾独立」を支持しないという意思を具体的な行動で表すべきとし、台湾への武器支援の中止などを求めた。

中国外交部によると、両首脳は人工知能(AI)に関する政府間対話や、麻薬取り締まり協力チームの設立などに合意した。また、軍のハイレベルな意思疎通や国防部門の会談、中国・米国海上安全協議メカニズム会議を再開するとした。2024年の早い段階で航空便の増加や、教育、留学生などの交流拡大にも同意した。

その他、気候変動問題解決に向けた協力やパレスチナ・イスラエル衝突についても意見を交換した。

外交部は、今回の会談は積極的、全面的、かつ建設的なもので、両国関係の改善と発展に向けた明確な方向を示したと評した。その上で、両首脳は合意内容を着実に実施するよう命じ、恒常的な連絡を継続することにも同意したと発表した。

中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長は「今回の会談はゴールではなく、新たなスタート」と評し、「新たな未来図」を描き、両国関係の健全で、安定し、持続可能な発展を推進すべきとした。

(注)米国側の発表は2023年11月16日記事参照。両首脳の対面での会談は、2022年11月14日のインドネシア・バリ島以来となる(2022年11月16日記事参照)

(河野円洋)

(中国、米国)

ビジネス短信 c093b204909a187c