第3四半期のGDP成長率は0.6%、3期連続マイナス成長に終止符

(チリ)

サンティアゴ発

2023年11月27日

チリ中央銀行の発表(11月20日)によると、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年同期比0.6%となり、2022年第4四半期から続いたマイナス成長からプラス成長に転じた。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年同期比3.6%減だった(添付資料表1参照)。食品、衣類、燃料への消費が減少し、自動車購入も落ち込んだため、民間消費が3.6%減となった。総固定資本形成は4.1%減で、電気機器への投資が減少し、設備投資が6.3%減だった。

財・サービスの輸出入では、輸出が前年同期比0.2%増、輸入が10.9%減だった。輸出の増加は化学品、セルロース、果物、観光サービスによるものだった。輸入の減少は機械や設備、燃料、衣類や履物の輸入減に起因している。

再エネ化や鉱業生産がプラス成長転換に寄与

経済活動別にみると、全体の成長率への寄与率が高かったのは電気・ガス・水道(寄与率:58.6%)、個人サービス(49.9%)、鉱業(31.3%)、の順だった(添付資料表2参照)。電気・ガス・水道は、発電の影響によるもので、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電が増加し、化石燃料を使用した火力発電からの転換が進んだ。鉱業は銅鉱石の品位向上と、新しい銅精鉱プラントの稼働により生産量が増加した。非金属では炭酸リチウムの生産量の増加が目立っており、その他、金と銀の生産量も増加した。

一方で、水産業は前年同期比8.7%減で、カタクチイワシ、アジ、メルルーサの水揚げ減少が影響した。運輸は、小売業における需要減と自動車販売が減少したことに伴って、陸上貨物輸送が落ち込み、4.2%減となった。

中央銀行は9月に発表した金融政策報告書で、2023年通年のGDP成長率はマイナス0.5~0.0%になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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