モスクワの美容展示会、中国勢が出展数で他国を圧倒

(ロシア)

調査部欧州課

2023年11月06日

ロシア・モスクワ市郊外の展示会場クロックス・エクスポで10月25日から28日にかけて美容展示会「インターチャーム」が開催され、6万5,000万人を超える来場者があった。

30回目の開催となった2023年は、ロシアを含めた17カ国・地域から約1,200社が出展。前回(2022年10月)の開催時と比べ、参加企業数は約3倍に増加した。出展企業を国・地域別にみると、ロシア(597社)に迫る出展企業数を誇ったのが中国(414社)で、3位のトルコ(62社)、4位の韓国(22社)に大きく水をあけるかたちとなった。

会場内では、いたるところに中国ブースが点在し、圧倒的な存在感を放っていた。中国企業は、化粧品からエステサロン用の専門機器まで幅広い商材をアピール。化粧品のOEM(他社ブランド製造)を紹介するブースも目立った。

本展示会に毎年ブースを出し、韓国の化粧品のプロモーションを行っている地場ディストリビューターに会場で話を聞いたところ(10月27日)、中国の美容業界によるロシア進出について、「中国製コスメの売りは現状、価格しかない。品質を求める消費者は韓国製を買い、価格重視であれば中国製が選ばれる。消費者のすみ分けはできており、韓国品は中国品と競合することはない」と話す。一方で、「乗用車市場では急速に西側ブランドから中国ブランドへの置き換わりが進んでいる。今後、中国製品の品質が向上し、消費者がそれに気づき始めれば、中国の商品も人気が出るだろう」と、中国の追い上げに危機感をにじませていた。

ロシア政府が推し進めている輸入代替政策のもとで、国産の化粧品への関心も高まっている。会場内では、韓国の美容を意味する「Kビューティー」になぞらえ、ロシアの頭文字を取った「Rビューティー」をコンセプトにしたブースで国産品のPRも行われていた。

写真 出展ブースのおよそ3分の1が中国企業だった(ジェトロ撮影)

出展ブースのおよそ3分の1が中国企業だった(ジェトロ撮影)

写真 中国ブースでは中国人自らがブースに立って説明する姿も多くみられた(ジェトロ撮影)

中国ブースでは中国人自らがブースに立って説明する姿も多くみられた(ジェトロ撮影)

写真 メード・イン・ロシアも若者の間で人気が出ている(ジェトロ撮影)

メード・イン・ロシアも若者の間で人気が出ている(ジェトロ撮影)

(欧州課)

(ロシア)

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