チリ環境相、COP28合意文書を高く評価、スイスとカーボンクレジット協力協定にも署名

(チリ、スイス)

サンティアゴ発

2023年12月22日

チリのマイサ・ロハス環境相は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に出席した。COP28は、ロハス環境相がドイツの環境相とともに前年のCOP27で議論を主導した「損失と損害」(ロス&ダメージ)基金の運用の合意に始まり、会期を1日延長して、12月13日に約200カ国が合意した最終合意文書を発表した。

ロハス環境相は会期終了後、合意文書で「(全ての国が)化石燃料からの脱却を進め、今後10年間で行動を加速させる」と定めた点を高く評価し、「COPの28年間の歴史の中で初めて化石燃料に言及されたことは非常に重要で、気候変動と闘うための具体的な行動の実行に不可欠だ。これは世界が化石燃料の廃止に向かって進んでいることを示す明らかな兆候であり、化石燃料の時代の終わりの始まりだ」とコメントした。

また、ロハス環境相は現地時間の12月9日、スイスのアルベルト・レシュティ環境・運輸・エネルギー・通信相とともに、温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた両国の戦略的協力協定に署名した。同協定は、パリ協定第6条2項に基づくカーボンクレジットの国際移転を可能にする2国間の枠組みで、エレクトロモビリティー、廃棄物処理、エネルギーの効率化や貯蔵などの分野が対象だ。再生可能エネルギーや、メタン回収プログラム開発に関して、スイスの支援を受け、チリのエネルギーマトリックスの脱炭素化を加速させることを目的としている。同合意により、スイスはチリへの最大1億ドルの直接投資を行うことと引き換えに、国際的に移転される緩和の成果(Internationally Trasferred Mitigation Outcomes:ITMOs)をスイスへ移転することを想定している。これにより、両国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution:NDC)の実施活動を補完するとともに、両国の気候変動対策を強化するとして期待されている。

(岡戸美澪)

(チリ、スイス)

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