予測集計、2024年経済成長率が前回から低下

(シンガポール)

シンガポール発

2023年12月14日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は12月13日、民間のエコノミストとアナリストが回答したフォーキャスターズ調査(Survey of Professional Forecasters)の結果を発表した(調査開始:11月22日、回答数:25人)。同調査結果によると、2023年のシンガポールの実質GDP成長率(経済成長率)予測の中央値は前年比1.0%と、前回調査(9月発表、2023年9月7日記事参照)から変化がなかった。2024年の経済成長率予測の中央値は2.3%と、前回調査(2.5%)から低下した。

シンガポール経済に対する下振れリスクについては、「海外経済の成長減速」と回答した割合が81.3%と最も高かった。「海外経済の成長減速」と回答した割合は3月発表の調査以降、拡大し続けている〔3月発表時:50.0%→6月発表時:61.1%→前回:68.8%→今回:81.3%)。上位にはそのほか、「地政学的緊張」(43.8%)、「インフレーション圧力」と「中国(の成長減速)」(いずれも37.5%)が挙がった。これらのうち「地政学的緊張」と回答した割合は、前回(31.3%)と比べて拡大した。他方で、「インフレーション圧力」と回答した割合は3月時点発表の調査以降、低下し続けている(56.3%→55.6%→50.0%→37.5%)。なお、2024年の消費者物価指数(CPI、総合)上昇率(前年比)の中央値は3.4%、MASが政策判断で重視するMASコアインフレーション〔CPI(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数〕の上昇率の中央値は3.0%だった。

上振れリスクについては、前回調査と同様に、「(予測を上回る)海外経済の成長」を挙げた割合(60.0%)が最も高かった。上位3つにはそのほか、「〔人工知能(AI)関連の成長といった〕テックサイクル(の回復)」(53.3%)と「中国(のより力強い成長)」(46.7%)が挙がった。これらのうち、「テックサイクル」を挙げる割合が前回調査(33.3%)から拡大した。最大のリスクとして「テックサイクル」を挙げる割合が33.3%と最も高く、「中国」(26.7%)や「海外経済の成長」(20.0%)を上回った。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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