日本産食材普及イベントをモロッコで初めて開催

(モロッコ、フランス)

ラバト発

2023年12月11日

ジェトロは1127日、日本食材を使った料理を、地元を代表する食品・飲料卸やレストランなどに試食してもらうイベントをモロッコ・カサブランカで開催した。このイベントは、日本産食材サポーター店認定制度(注)の新規登録PRの一環で、ジェトロが日本産食材普及イベントをモロッコで開催するのは今回が初めて。

今回のイベントには、フランス・パリで1972年から日本食材の販売を行っている老舗のKIOKOと、パリで和牛肉を扱う店も含め和風3レストランを展開し、日本の地方の食材も取り扱うオーマツ・フランス(SARL OMATSU FRANCE)2社がサンプル食品を持参した。

会場は、202210月にモロッコ初の日本産食材サポーター店に認定されたILOLI。日夜を問わず、地元の和食好きが集まるモロッコを代表するレストランで、シェフは日本人だ。

当日は、食品・飲料卸、すしレストランチェーン関係者ら10人、国営テレビやプレス、グルメインフルエンサーが招待された。KIOKOとオーマツ・フランスの日系2社が持参した食材を使いILOLIシェフがシュリンプサラダやヒメジの松笠焼き、和風だしを使ったそうめん、ビーガンマーボー豆腐など試食料理を用意し、提供した。

写真 イベントで提供された試食用のサラダ(Yann Bennis撮影)

イベントで提供された試食用のサラダ(Yann Bennis撮影)

写真 イベントで提供された試食用のそうめん(Yann Bennis撮影)

イベントで提供された試食用のそうめん(Yann Bennis撮影)

写真 イベントで提供された試食用の焼肉(Yann Bennis撮影)

イベントで提供された試食用の焼肉(Yann Bennis撮影)

写真 イベントで提供された試食用の麻婆豆腐(Yann Bennis撮影)

イベントで提供された試食用の麻婆豆腐(Yann Bennis撮影)

モロッコでは日本産食材はまだ普及せず

モロッコは、日本食材を扱う専門店がないに等しい。わずかな日系加工食品がスーパーマーケット店頭に並ぶことはあるが、日本食関連食材を消費者が手にし、口にする機会はほとんどない。ネット販売で一部愛好家が調達しているレベルだ。

モロッコにも複数のすしレストランチェーン店舗が主要都市にあるが、東南アジア系の料理との抱き合わせメニュー構成が中心で、日系食材が使われていることはほとんどない。漫画やアニメで日本の食べ物を映像で目にすることはあっても、実際に身近に存在しないため、すしは中国の食べ物と勘違されるほど理解度が低いのが実情だ(モロッコの食品市場については「アフリカの食品・飲料市場調査(モロッコ編)」2022年10月12日記事参照)。

今回来訪した日系2社と面談した地元輸入食品バイヤーは、日本産食材は関税や輸送コストが賦課され、価格重視のモロッコではビジネスになりにくいと吐露する。一方、既にオーストラリア産和牛が輸入されており、当事務所にも地元関係者から和牛の引き合いがあるが、日・モロッコ間の取引制度は確立しておらず取引に至っていない。

また、モロッコはイスラム教徒が大多数の国で、酒類は一般的ではないが、ワインやビールを生産して国内外に出荷している。日本産ウイスキーへの関心は高いが、日本酒への関心は高くない状況だ。今回も、在モロッコ日本国大使館と試食品を日系2社から試飲用の日本酒を提供いただいたが、試飲していたのは、飲料卸などごく一部にとどまった。

モロッコは日本食材の普及が進む欧州との人的交流が活発な一方、日本食材は普及してこなかった。ハラルや食品衛生基準、さらに関税など課題は少なくないが、今回の催しが日本食材普及の第一歩となることを期待したい。

(注)日本産食材サポーター店認定制度:日本国外にある、日本産食材や酒類を使用/販売している、レストラン/小売店を「日本産食材サポーター店」として認定する制度。本制度は、日本産農林水産物・食品の海外発信を強化するもので、農林水産省が定めた「海外における日本産食材サポーター店の認定に関するガイドライン」に基づき運営されている。2023年11月30日現在のサポーター店数は5,104件。

(本田雅英)

(モロッコ、フランス)

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