11月の鉄道貨物輸送量、ロシアによる侵攻以来の最高を記録

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2023年12月14日

ウクライナ地方・国土・インフラ発展省は12月7日、ウクライナ鉄道(国営)の2023年11月の鉄道貨物輸送量が1,400万トンを記録し、ロシアによる侵攻開始後、最大となったと発表した。前年同月比では33.8%の増加だった。

ウクライナ鉄道のプレスリリース(12月5日)によると、輸送量の上位は穀物の300万トン(前年同月比13%増)のほか、建築資材の300万トン(61.8%増)、鉄鉱石およびマンガン鉱石の300万トン(2.5倍)、石炭の200万トン(7.7%減)だった。

穀物については、11月は240万トンが輸出向けに鉄道輸送された。これは前年同月比で13%の増加、前月比では40.4%の増加だった。オレクサンドル・クブラコフ復興担当副首相兼地方・国土・インフラ発展相は、鉄道輸送量の増加、特に輸出向け輸送量の増加は景気回復を測る重要な指標の1つであると指摘した上で、「(穀物輸出の増加は)ウクライナだけでなく、海外でわが国の穀物を頼りにしているすべての人々にとっても非常に重要な進展だ」と評価した(同省発表12月7日)。

穀物の鉄道輸送先をみると、海港への輸送量が170万トン(前月比1.7倍)と増加したものの、陸路での国境通過による輸送量は72万トン(同4.2%減)とやや減少となった。

ウクライナ産穀物輸出に関しては、「黒海穀物イニシアチブ」が2023年7月に効力を停止したことをうけて(2023年7月20日記事参照)、9月には鉄道による穀物輸出量が前年同月比で3分の1となる107万2,000トンに減少したが、翌月10月には173万1,000トンまで回復した。この理由について、ウクライナ鉄道のワレリー・トカチェフ商業事業部副局長は自身のフェイスブック(11月7日付)で、オデーサ州の港を通じた臨時の貨物輸出回廊が再開したことを挙げた。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ)

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