政策金利を4回連続引き下げ8.25%に、下げ幅は再び拡大

(チリ)

サンティアゴ発

2023年12月22日

チリ中央銀行は12月19日に行われた金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの9.0%から75ベーシスポイント(%で0.75ポイント相当)引き下げ、8.25%とすることを全会一致で決定した(添付資料図1参照)。利下げは4会合連続で、前回(10月)の下げ幅は25ベーシスポイント縮小したものの、今回の下げ幅は再び25ベーシスポイント拡大した。

中銀は、世界的なインフレ率の低下が続く中、特に米国では2024年に金融政策がより緩和する見通しで、中国経済は前回の金融政策決定会合のころより改善しているとした上で、チリ国内においても金融緩和の影響が表れていることなどが利下げを決定した要因だと説明した。また、国内のマクロ経済シナリオは予想に沿って進展しており、世界の金融市場における緊張は解消されたとし、これに関連して、インフレ率は2024年下半期にも3%の目標値に収束すると予想している。

中銀によると、11月の消費者物価上昇率は前月比0.7%、前年同月比4.8%だった(添付資料図2参照)。また、11月単月では食品・飲料(酒類を除く)や運輸において価格が上昇し、市場予想を上回ったものの、今後の消費者物価上昇率の傾向には影響を与えないとしている。労働市場は景気の停滞に伴い雇用創出が鈍く、失業率も高止まりしており、家計や企業の期待は依然として悲観的だとした。12月20日に発表された金融政策報告書によると、2023、2024、2025年のGDP成長率は、それぞれ0%、1.25~2.25%、2.0~3.0%になるとの予想を発表している。

中銀は今後の見通しについて、インフレ率を年率3%の目標に収束させつつも、政策金利についてはさらなる引き下げが必要であると考えており、その時期と規模についてはマクロ経済シナリオの展開とインフレの影響、内外リスクを考慮するとしている。次回の金融政策決定会合は2024年1月30~31日に開催の予定。

(岡戸美澪)

(チリ)

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