市場規模・成長性が魅力、人件費・不動産賃料の高騰が課題、中東進出日系企業調査

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

調査部中東アフリカ課

2023年12月28日

ジェトロは12月21日、2023年9月に中東10カ国(注)に進出する日系企業を対象に実施した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」の結果を発表した。その中から「投資環境」についての調査結果を紹介する。

中東に拠点を構えている理由としては、前年同様に、7割以上の企業が「市場の将来性」、5割以上が「市場規模」と回答した。投資環境の魅力を聞く設問では、中東全体では「市場規模、成長性」と回答した企業が前年から7.7ポイント増の67.4%で最多となり、「対日感情が良い」、「駐在員の生活環境」が続いた。

国別に投資環境の魅力を見ると、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコでは「市場規模、成長性」、イスラエル、イラン、ヨルダンでは「対日感情が良い」が最多の回答だった。

投資環境の課題については、中東全体では「人件費の高騰」が前回調査から10.9ポイント増加し46.4%で最も多く、次いで「不動産賃料の高騰」(38.7%)と、コスト上昇に関する課題となった。「突然の制度導入や変更」(38.1%)、「法制度の未整備・不透明性」(35.1%)といった制度面での課題がコスト面での課題に続く結果となった。

投資環境の課題を国別に見ると、UAEとイスラエルでは、「不動産賃料の高騰」が前年同様に最多の回答だった。トルコ、サウジアラビアでは、「人件費の高騰」が前年からそれぞれ20ポイント以上上昇して最多となった。イランでは「不安定な政治・社会情勢」が最も多かった。

競合相手に関する設問では、自社の競合相手は「日系企業」(22.1%)、「欧州企業」(20.7%)、「中国系企業」(17.6%)の順に回答が多かった。

(注)アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコ、イラン、イスラエル、ヨルダン、カタール、クウェート、バーレーン、オマーンの10カ国。260社に回答を依頼し、228社から有効回答を得た(有効回答率87.7%)。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

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