下院選挙で極右派の自由党が第1党

(オランダ)

アムステルダム発

2023年12月21日

オランダでマルク・ルッテ内閣が7月に総辞職した(2023年7月11日記事参照)のを受けて、11月22日に行われた下院選挙(定数150)の公式結果が12月1日に発表された。反イスラムのポピュリストのヘルト・ウィルダース氏率いる極右の自由党(PVV)が改選前の17議席から37議席へと大幅に伸ばし、第1党となった。

難民受け入れ政策がルッテ内閣総辞職の要因となり、今回の選挙の争点が移民政策となったことで、かねて移民政策を中心に据えてきたPVVに有権者の票が大きく流れる結果となった。

第2党は、前回の17議席から25議席に増やした左派のグリーンレフトと労働党の連合政党(GL-PvdA)で、高等教育を受けた層が多く住むアムステルダムなど都市部で最大の得票数を得た。同党はオランダの民主主義と法の支配を守ると公言していることから、PVVとの連立には加わらない見通しだ。

改選前の最大与党だった自由民主国民党(VVD)は、34議席から24議席へと大幅に減らし、2010年にルッテ内閣を成立させて以降初めて30議席を割る結果となった。移民受け入れ数制限を掲げ、2023年8月に結成されたピーター・オムジヒト氏率いる新社会契約党(NSC)は20議席を獲得した。高学歴層に支持者が多い中道左派の民主66党(D66)は24議席から9議席へ大幅に減らし、2023年3月に行われた上院選挙で躍進した農民運動(BBB)は1議席から7議席に増やし、下院でも影響力を持つことになった。かつての第1党で第1次、3次、4次ルッテ政権の連立にも加わったキリスト教民主同盟(CDA)は、15議席から5議席へと大幅に減らした。PVVが第1党になったものの、単独過半数には届かず、これから他党との連立に向けた協議が開始される。

(成瀬杏子)

(オランダ)

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