広汽グループの工場がカーボンニュートラル達成

(中国)

広州発

2023年12月08日

中国の広州汽車グループ傘下の新エネルギー車ブランド「広汽埃安新能源汽車(AION)」の第1と第2工場が2022年通年のスコープ1、2の範囲でカーボンニュートラルを達成した(注1)。カーボンニュートラル認証を行っている広州排出権取引センターが11月24日に発表した。同センターによると、AIONの2022年の年間温室効果ガス(GHG)排出量は2万2,765トン(tCO2e)となっていた。これに対し、2万2,770トン相当のカーボンクレジットを購入することで二酸化炭素(CO2)排出量を相殺したとみなされ、カーボンニュートラルと認定された。広州汽車グループは2022年に、AIONの工場のCO2排出量を実質ゼロにする計画を発表しており、それが実現したかたちとなった。

ネガティブエミッション技術(NETs、注2)が実用化途上の中で、製造業に従事する企業がカーボンニュートラルを実現するには、再生可能エネルギーの活用や、エネルギー使用量の削減、カーボンクレジット購入といった手段を組み合わせる必要がある。AIONはそれぞれに対して次の取り組みを行った。

  1. 再生可能エネルギーの活用:太陽光パネルの設置などにより、2022年末時点でクリーンエネルギー自給率30%以上を実現した。
  2. エネルギー使用量の削減:エネルギーストレージシステム(ESS)を導入し、太陽光発電システムと組み合わせてピークシフトによる電力利用の効率化を図った。エアコンプレッサーや空調の集中管理、塗装工程へのヒートポンプ導入などを通じて、生産工程でのエネルギー消費を削減した。
  3. カーボンクレジット購入:カーボンクレジットの「ベリファイド・カーボン・スタンダード(VCS)」(注3)と「広州炭普恵(広州カーボンインクルージョン)」(注4)を購入した。広州カーボンインクルージョンは、広州市政府が2023年から発行を始め、11月に取引プラットフォームが開設された。AIONは広州聯電集団とともに当該クレジットの初の購入者となった(「広州日報」11月7日)。

(注1)スコープ1は自社が直接的に排出する温室効果ガス(GHG)、スコープ2は自社が間接的に排出するGHGを指す。

(注2)NETsとは、大気中のCO2を直接捕集する技術のダイレクト・エア・キャプチャ(DAC)や生物機能利用と、貯留または固定化などを組み合わせることにより、正味としてマイナスのCO2排出量を達成する技術。

(注3)米国の環境NPO団体「ベラ」が管理するカーボンクレジット。

(注4)中国語で「普恵」は包摂や包括を意味する。

(小野好樹)

(中国)

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