1~10月のEV販売は前年同期比10倍、新たな輸入規制が導入へ

(トルコ)

イスタンブール発

2023年12月04日

トルコ貿易省は、EU関税同盟および自由貿易協定(FTA)締結国以外からの輸入電気自動車(EV)販売に新たな基準を設けた(官報11月29日付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます32384号)。販売企業は次の基準を満たし、産業技術省あるいは同省認定機関から輸入許可を取得することになる。なお、本措置は発表30日後の発効となる。新たに適用される販売基準は次のとおり。

  1. 全国7地域(マルマラ、エーゲ、黒海、中央アナトリア、地中海、東アナトリア、南東アナトリア)の20カ所で、トルコ規格院(TSE)の規格(TS 12047外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますTSE K 646外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に整合するアフターサービス向けの店舗を設置する必要がある。
  2. EV販売、メンテナンス作業など行う従業員は、関連するTSE規格と職業資格認定機関(MYK)による認定証明書を保持する必要がある。
  3. 輸入のEVは、ブランドごとに最低40人からなるコールセンターを設置する必要がある。
  4. トルコで販売を行うEVメーカーは、トルコ国内に代表者を置く必要がある。
  5. 輸入者がバッテリーシステムの監視・管理・検査などの手続きを実施することを確認する誓約書を提出する必要がある。

貿易省は本措置の背景について、「EVの輸入について、消費者の安全性、アフターサービスの質の向上、バッテリー保管・処理・リサイクルの管理基準を導入することで、EVのエコシステムの確立を目指す」と発表した。また、トルコ電気・ハイブリッド車協会(TEHAD)のベルカン・バイラム会長が「これまで輸入販売のみで、アフターサービスの提供を怠った企業も調整を義務付けられ、本措置によって消費者が被った損失は改善される」と述べるなど、おおむね前向きに評価されているようだ。

なお、現地メディア「ハベルテュルク」の報道によると、トルコ国民車のTOGGと、関税同盟をもつドイツ工場で生産されているEVをトルコで販売する米国のテスラが本規制の対象外となる。他方、中国のBYD、Neta、Voyah、Skywell、Leap Motor、Hongqiなどは本規制の対象となるという。

自動車販売代理店・モビリティ協会(ODMD)が11月2日に発表した報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年1~10月のEV販売台数は、前年同期比で約10倍の約4万8,883台と好調だった。自動車販売におけるEVのシェアも前年同期の1.1%から6.5%に拡大したという。また、英国フィッチ・ソリューションズ傘下の調査会社BMIが発表した「トルコEVプロファイル」では、2032年まで年間平均60.8%増加する見通しが示されている。

(中島敏博)

(トルコ)

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