中国の台湾産ハタの一部輸入再開に、台湾当局は政治的操作やめるべきと呼びかけ

(台湾、中国)

調査部中国北アジア課

2023年12月27日

台湾の農業部動植物貿易検疫署は12月22日、中国税関総署が12月22日から台湾産ハタの輸入を7カ所の養殖場に限定して再開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことに対し、「中国側は、台湾が既にハタの生産管理の関連措置を完了したことを認めたので、全ての養殖場を一律に扱うべきで、一方的に一部の養殖場のみ輸出許可リストに掲載するような政治的操作をやめるべき」と呼びかけ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますた。

中国は2023年6月13日から、台湾産ハタから使用が禁止されている薬品成分が検出されたとして輸入を停止しており、台湾はこれまで、海峡両岸農産品検疫検験協力協議プラットフォームを通じて、中国に対して台湾側のハタ養殖管理の改善を伝えてきたが、中国側からの反応はなかった。

台湾農業部は中国市場への依存を避けるため、既にマレーシアやシンガポール、米国、日本など新たな市場を開拓してきた。2019年~2021年に中国に輸出されたハタの価格は1キログラムあたり6~9ドルだったが、米国向けの場合は1キロ14~19ドルという。中国や香港以外の市場への輸出額は、2021年の46トンから2022年には251トンに拡大した。

台湾農業部は引き続き中国に対して対話を呼びかけていくほか、台湾の関連業者に対しては、生産品の品質と安全の確保のため、水産養殖管理協議会(ASC)やBAP(Best Asuasulture Practices)といった国際認証の取得を補助し、世界市場への販売を支援していくとした。

中華経済研究所の王国臣研究員は、国務院台湾事務弁公室の報道官が輸入解禁とあわせて「『92年コンセンサス』を堅持し、台湾独立に反対する」とコメントしたことに対し、「(2024年1月13日に投票日を控える)台湾の総統選挙に際して、『92年コンセンサス』を受け入れれば経済上の利益を与え(注)、認めなければ1つの中国の原則に基づいて経済的威圧を行うという選挙介入だ」と分析した(「自由時報」12月25日)。

(注)今回の一部輸入再開に先立ち、11月に国民党政策会の蘇清泉副執行長と台湾両岸農漁業交流発展投資協会の黄一成理事長が国務院台湾弁公室の宋濤主任と面談を行っていた。

(江田真由美)

(台湾、中国)

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