EU、エコデザイン規則案で政治合意、未使用繊維製品の廃棄禁止へ

(EU)

ブリュッセル発

2023年12月11日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は12月5日、製品仕様における持続可能性要件の枠組みを設定するエコデザイン規則案に関して、暫定的な政治合意に達したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同規則案は、大型家電などを対象に主にエネルギー効率の観点から製品仕様の基本要件を設定する現行のエコデザイン指令を改正するもので、対象製品やエコデザイン要件を大幅に拡大する。対象製品に関しては、原則として食品や医薬品を除くあらゆる製品が対象となる。エコデザイン要件に関しては、エネルギー効率に加えて、耐久性、信頼性、再利用性、更新可能性、修理可能性、リサイクル可能性、懸念すべき物質の有無、リサイクル材の含有量、炭素・環境フットプリントなどの持続可能性要件が追加される。また、これらの要件に関する情報は、新たに導入される「デジタル製品パスポート」を通じて消費者に提供することも求められる。欧州委員会は、同規則案により、持続可能な製品をEUにおける新たな規範とすることを目指すとしている。

規則案は、循環型経済に向けた政策パッケージ第1弾(注)として、2022年3月に欧州委が発表(2022年4月4日記事参照)していた。今後、EU理事会と欧州議会による正式な採択を経て、施行される見込み。なお、今回合意された法文案は公開されていない。

同規則案は、あくまでも持続可能性要件に関する枠組みを設定するもので、具体的な要件の内容は、欧州委が今後、製品グループごとに委任法令により設定する。両機関は、規則案の施行から9カ月以内に策定される、委任法令に関する第1回作業計画において、欧州委が鉄、鉄鋼、アルミニウム、繊維製品(特に衣類と履物)、家具、タイヤ、洗剤、塗料、潤滑剤、化学品を優先して取り扱うことで合意した。欧州委は、エネルギー関連製品、情報通信技術(ICT)製品やその他の電子機器も優先的に取り扱うとしている。委任法令の採択後は、18カ月以内に対象製品をエコデザイン要件に適合させなければならない。

今回の合意では、未使用繊維製品の廃棄禁止も決定した。これは、EU理事会が主張していたものだ(2023年5月24日記事参照)。これにより、欧州委が提案していた、大企業に対する消費者製品全般を対象にした未使用製品の廃棄量とその理由の開示義務に加えて、同規則案の施行2年後からは、繊維製品(履物を含む)を対象に未使用製品の廃棄が禁止される。ただし、小規模企業は禁止規定の適用が除外されるほか、中規模企業に対しては施行から6年間の猶予期間が認められる。また、欧州委には廃棄禁止規定の適用製品を規定する委任法令を策定する権限が認められており、中長期的には繊維製品以外の製品グループに関しても廃棄禁止規定が適用される可能性がある。

このほか、両機関は、自動車に関して、他の法令で既に規制されている場合、同規則案の適用から除外するとしたほか、国家の安全保障や防衛に影響を与える製品に関しても除外するとした。

(注)詳細はジェトロ調査レポート「EUの循環型経済政策(第1回)2022年政策パッケージ第1弾においてEUが目指すものとは」(2022年10月)を参照。

(吉沼啓介)

(EU)

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