有望ビジネス分野は水素・アンモニア、注目国はサウジアラビア、中東進出日系企業調査

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

調査部中東アフリカ課

2023年12月28日

ジェトロは12月21日、2023年9月に中東10カ国に進出する日系企業を対象に実施した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」(注1)の結果を発表した。同調査では、有望ビジネス分野では水素・アンモニア、注目国はサウジアラビアとの回答が最多だった。

中東市場で今後有望視するビジネス分野を聞いたところ(複数回答可)、中東10カ国全体では「資源・エネルギー」が52.8%で、前年に続いて最多となり、「インフラ」(38.2%)、「消費市場」(29.7%)、「新産業」(24.1%)と続いた。国別に見ると、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、サウジアラビア、イランでは「資源・エネルギー」が最も有望視されている。イスラエルでは「新産業」が47.1%で最多だった。

「資源・エネルギー」分野の内訳を見ると、対象国全体で「水素」(62.7%)、「燃料アンモニア」(58.8%)、「再生可能エネルギー(太陽光)」(57.8%)といった脱炭素関連が上位を占める。「インフラ」分野では「電力」(48.7%)、「消費市場」分野では「食品」(48.1%)が最多だった。サウジアラビアでは「水素」が前年から15ポイント増の80.0%で最多となり、「燃料アンモニア」「再エネ(太陽光)」が上位だった。UAEでも「水素」「燃料アンモニア」が上位、「炭素回収」が前年から10.8ポイント増の57.1%で3位となった。トルコでは「再エネ(太陽光・風力)」が前年同様に上位だったほか、「天然ガス」が前年から30.4ポイント増の47.1%で3位となった。

中東の今後の注目国を聞いたところ(複数回答可)、サウジアラビア(73.4%)、UAE(53.7%)、トルコ(26.6%)、カタール(25.1%)、イスラエル(23.2%)の順となった。サウジアラビアでは、特にNEOMなどの大型インフラプロジェクトや、市場の将来性、脱炭素関連事業、石油・天然ガスなどが注目点として挙がった。UAEでも脱炭素関連事業、原油・天然ガスが注目点となった。UAEのドバイでは、国連気候変動枠組み条約第28回締結国会議(COP28)も開催され、産油国の多い中東でも脱炭素関連に注目が集まっている(注2)。

(注1)アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコ、イラン、イスラエル、ヨルダン、カタール、クウェート、バーレーン、オマーンの10カ国。260社に回答を依頼し、228社から有効回答を得た(有効回答率87.7%)。

(注2)中東地域のグリーンエネルギーに関する取り組みについては、ジェトロの地域・分析レポート特集「中東・アフリカのグリーンビジネスの今」、COP28についてはビジネス短信特集「COP28に係る各国・地域の反応」も参照。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

ビジネス短信 eea55d918eb0e177