岸田首相、COP28で中東や欧州の首脳と個別に会談、イスラエル・パレスチナ情勢などを議論

(日本、アラブ首長国連邦、イスラエル、パレスチナ、カタール、トルコ、エジプト、EU、ヨルダン、イタリア、フランス、イラン)

テルアビブ発

2023年12月05日

岸田文雄首相は1212日、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)(2023年12月1日記事参照)出席のために訪問したアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、イスラエル、カタール、トルコ、エジプト、EU、ヨルダン、イタリアの首脳らと個別に会談を行った。

写真 COP28首脳級ハイレベル・セグメントにてスピーチを行う岸田首相(ジェトロ撮影)

COP28首脳級ハイレベル・セグメントにてスピーチを行う岸田首相(ジェトロ撮影)

首相官邸や外務省によると、12月1日はイスラエルのアイザック・ヘルツォーク大統領と会談を行い、岸田首相はハマスによるテロ攻撃を非難する旨を伝えると同時に、国際人道法を含む国際法に基づいて行動することが重要という日本の立場を説明した上で、ガザ地区の人道状況の改善を要請した。

カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長との会談では、岸田首相はガザ情勢について、戦闘休止と人質解放に関するカタールの仲介努力を高く評価した。また、イスラエルとハマスの戦闘が再開(2023年12月4日記事参照)されたことについて、合意への復帰や事態の早期沈静化が重要と述べた。

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領との会談では、岸田首相は、全ての当事者が国際人道法を含む国際法を順守しなければならず、実際の軍事行動においては、民間人の被害を防ぐべく、実施可能なあらゆる措置を講じる必要があると述べた。

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領とはワーキングディナーを行い、岸田首相はイスラエル・パレスチナ情勢について、カイロ平和サミットをはじめとする外交努力、人道支援物資のガザ地区への搬入などにおいて、エジプトが極めて重要な役割を果たしていることに敬意を表した。

12月2日の欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長との会談では、岸田首相は中東情勢、ロシアによるウクライナ侵略、「自由で開かれたインド太平洋」への取り組みなどの課題について日EU、G7で連携していきたい旨を述べた。

ヨルダンのアブドゥッラー2世国王とのワーキングランチでは、岸田首相は、ガザ情勢などの影響を受け厳しい経済・財政状況にあるヨルダンのニーズを踏まえ、2024年に約1億ドルの財政支援を供与するための準備を進めていく旨を伝えた。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相との会談では、岸田首相は戦略的パートナーとして日イタリア間の緊密な協力が以前にも増して重要となっている旨を述べた。また、2024年のG7プーリア・サミットに向けて、G7議長国としての引き継ぎについても、さまざまなレベルでしっかり行っていくこととした。

写真 COP28会場でインタビューに答えるイタリアのメローニ首相(ジェトロ撮影)

COP28会場でインタビューに答えるイタリアのメローニ首相(ジェトロ撮影)

また、岸田首相はUAEを訪問中に、フランスのエマニュエル・マクロン大統領(2023年12月4日記事参照)やイランのイブラーヒーム・ライーシー大統領と電話会談を行った。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

(中溝丘)

(日本、アラブ首長国連邦、イスラエル、パレスチナ、カタール、トルコ、エジプト、EU、ヨルダン、イタリア、フランス、イラン)

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