英中銀、金利5.25%に据え置き、インフレへの警戒は変わらず

(英国)

ロンドン発

2023年12月15日

英国イングランド銀行(BOE、中央銀行)は12月14日、政策金利を5.25%に据え置くことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。前日まで開かれていた金融政策委員会(MPC)で決定。市場の予測どおり、9月から3会合連続の据え置きとなった。米国連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)の12月の発表では、利上げのサイクルは事実上終了したと受け取れる内容となっており、2024年に3回分の引き下げが示唆されていた(2023年12月14日記事参照)。一方で、BOEは、インフレ率が依然として目標の2%を上回っていることから、経済のレジリエンスと持続的なインフレ圧力を緊密に注視するとし、根拠があれば再利上げもあり得ると繰り返した。

MPCでは、9人中6人の委員が据え置きを支持し、3人は0.25ポイント増加の5.50%を支持した。懸念材料とされているサービス価格インフレ率や民間賃金上昇率の低下が見られたものの、確固たる下降局面に入ったとは言えず、中期的なインフレに対するリスクは、中東情勢なども踏まえ、依然として高まる方向にあるとの見解を示した。10月のインフレ率は4.6%、サービス価格インフレ率は6.6%と、いずれも前月から低下しているが、サービスに関しては、宿泊施設価格や航空運賃などが大きく寄与しており、インフレ率低下の持続性を見極めるには不十分と指摘している。

さらに、MPCでは、米国やユーロ圏などの主要経済と比較した相対的な議論がなされ、食品とエネルギーを除いた英国のコアインフレ率は5.7%と米国(4.0%)やユーロ圏(3.6%)より高いままだと指摘した。賃金インフレについても、米国、ユーロ圏と比較して高い水準にあるとした。中でも民間賃金上昇率については、8~10月の民間部門の平均週間所得(AWE)の伸びは7.3%で、5~7月と比較して0.8ポイント低下したものの、依然として高水準で推移しているとした。

10月のGDPは予測に反し縮小、過去6番目の降水量も影響

英国国家統計局(ONS)の12月13日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、10月のGDP成長率は横ばいの予測に反し、マイナス0.3%。情報通信業の落ち込みを主因とするサービス部門の0.2%減が主に寄与した。また、10月単月でみると、2023年は1836年以降で6番目に降水量の多い年となり、建設業、小売業、パブ(飲食業)、観光業にも悪影響があったとしている。

(松丸晴香)

(英国)

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