台湾、排出量取引が正式にスタート、初回取引総額は80万ドル

(台湾)

調査部中国北アジア課

2024年01月04日

台湾炭素ガス排出量取引所(TCX)は12月22日、域外カーボンクレジット(注)の取引を正式に開始したと発表した。初回は台湾域内法人の購入のみに限定され、半導体や電子、金融、鉄鋼、化学、海運、繊維など台湾を代表する幅広い業種の企業が27社参加した。27社には、台湾のファウンドリー(半導体受託製造)企業の台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)や、電子機器受託生産(EMS)で世界最大規模の企業グループのフォックスコン(鴻海精密工業)などが含まれる。同日開催された式典では、それら企業にカーボンクレジット購入証明書が授与された。

初回に取引された域外カーボンクレジットは、クリーンな水源や、太陽光発電、風力発電とバイオガス発電など合計7つの炭素排出削減プロジェクトに対して発行されたもので、プロジェクト実施場所はアジアやアフリカ、南米が対象だ。売却事業者はスイス、英国、シンガポール、台湾などの域内外法人だった。なお、初日の取引量は二酸化炭素(CO2)換算で8万8,520トン、取引額は1トン当たり3.9~12ドルで、取引総額は80万ドルを超えた(「経済日報」2023年12月22日)。また、当該カーボンクレジットについては、関連政策の「気候変動対処法」の細則が制定中のため、台湾における炭素税の徴収基準として計算される炭素排出量の控除にはまだ使用できない。

なお、台湾当局は2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指し、「2050年ネットゼロ排出ロードマップ」など一連の政策を発表している。その一環として、2023年8月7日にTCXが高雄市に設立された。

(注)TCXでの排出量取引は、取扱商品や対象によって大きく3つの取引形態に分けられる。台湾域内のカーボンクレジット取引に分類される「自主的な排出量削減取引」と「増量オフセット取引」、そして台湾域外のカーボンクレジットを取引する「域外カーボンクレジット取引」だ。

(富永笑美子)

(台湾)

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