米財務省、ロシア産原油取引の上限価格違反でUAEの海上輸送企業に制裁発動

(米国、ロシア、ウクライナ、アラブ首長国連邦)

ニューヨーク発

2024年01月23日

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は1月18日、海上輸送によるロシア産原油の国際取引価格上限に関する政策に違反したとして、外国の事業体1社と船舶18隻を金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに指定した。

米国、日本を含むG7諸国とEU、オーストラリアから成る「上限価格連合」は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、2022年12月以降に海上輸送されるロシア産原油に1バレル当たり60ドルの上限価格を設定している(2022年12月6日記事参照)。OFACは2023年10月に初めて、上限価格違反を理由にした制裁を発動している(2023年10月13日記事参照)。

今回は、上限価格を超える取引に利用された船舶の所有者のアラブ首長国連邦(UAE)のへネシア・ホールディングス(Hennesea Holdings)と、同社が保有する18隻の船舶がSDNに指定された(注1)。SDN指定の事業体には、在米資産の凍結や、米国人(注2)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注3)。

今回の発表に際し、財務省のウォリー・アデエモ副長官は「クレムリンに協力する者たちを阻止するという、われわれの連合のコミットメントを誰も疑うべきではない」と述べた。国務省も同日、G7、EU、オーストラリアの上限価格連合のパートナーとともに、違法な対ウクライナ戦争を継続するロシアへの資金調達に協力する企業などの行為を阻止するとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バイデン米政権の主要な対ロシア・ベラルーシ制裁については、添付資料参照。

(注1)今回SDNに指定された船舶のうち、HSアトランティカは2023年12月に、今回指定されたヘネシア・ホールディングスの子会社HSアトランティカの所有物としてSDNに指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされていたが、あらためてへネシア・ホールディングスに所有権があるとしてSDNに指定された。制裁対象者の詳細は財務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注3)SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は同省の「ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、OFACのデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、ウクライナ、アラブ首長国連邦)

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