世界銀行が南アジア地域への2023年海外送金額予測を発表、インド向けで好調な伸び

(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)

調査部アジア大洋州課

2024年01月09日

世界銀行は2023年12月18日、南アジア地域(注)における2023年の同地域外からの送金の受け取りが1,890億ドルにのぼるとの予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年時点での予測を130億ドルほど上回るとみられ、2024年は1,980億ドルを見込む。

2023年の海外直接投資(FDI)の受け入れ額が前年比で45%減少している南アジア地域にとり、資金源として海外送金の受け取りは非常に重要だ。世銀は、2023年の同地域における海外送金増加の背景として、(1)米国における歴史的な労働市場の活性化、(2)欧州における大幅な雇用需要増加による労働者引き留め策の導入、(3)送金元である高所得国におけるインフレの鈍化などを指摘している。

インドへの2023年における海外からの送金額は前年比12.4%増の推定1,250億ドルとなり、また2024年も好調な伸びが予想されて、前年比8%増の1,350億ドルを見込む。米国や英国、シンガポールにおいては、インド人高度技能人材による海外送金の急増などが要因とみられる。

バングラデシュは、2023年は前年比7%増の推定230億ドル、2024年も横ばいと予測した。

スリランカは、IMF主導の「金融支援パッケージ(拡大信用供与:EFF)プログラム」によってマクロ経済の安定性が確保された影響で海外からの送金が増加、銀行などフォーマルなチャンネルを通じた金額が2023年は前年比41%増の54億ドルと推定される。今後も増加傾向は続き、2024年は60億ドルとなる見通し。

パキスタンは、国内経済の混乱に起因する財政危機および巨額な債務によって、公共サービスへの信頼度が低下、フォーマルなチャンネルによる海外からの送金額は前年比20%減少し、240億ドルとみられる。2024年の見通しも10%減の220億ドルを見込む。

(注)南アジア地域:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。

(深津佑野)

(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)

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