中国、台湾(総統)選挙について民進党は民意を代表せずとの見解

(中国、台湾)

北京発

2024年01月16日

1月13日に台湾で行われた総統の選挙(注1)の結果について、中国の国務院台湾事務弁公室は同日、「台湾での2つの選挙の結果は、民進党は島内の主な民意を代表することはできない、ということを明らかにした」との見解外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示した。今回の選挙結果は「祖国の最終的な統一、必然的な統一の大勢」を妨げることはできないとした。

その上で、中国の「台湾問題を解決し、国家統一を完成するという立場は一貫しており、その意思は固いものだ」とした。「一つの中国」原則を体現した「92年コンセンサス」(注2)を堅持し、「台湾独立」という分裂行為と外部勢力の干渉に反対し、台湾の関係政党・団体・各分野の人々とともに、両岸関係の平和的発展と祖国統一の大事業を推進するとした。

同日、外交部は「台湾問題は中国の内政問題」として、台湾内の状況がどのように変化しようと、世界には一つの中国しかなく、台湾は中国の一部であるという基本的な事実を変えることはできないとの見解を示した。その上で、国際社会も「一つの中国」原則を引き続き堅持し、中国の人々が「台湾独立」という分裂活動に反対し、国家の統一という正義の事業を完成することに、理解と支援を示すことを信じるとした。

また外交部は1月14日、米国務省が選挙に関する声明を発表したことについて、「一つの中国」原則と両国間の3つの共同コミュニケ(注3)への重大な違反で、米国と台湾の関係は、文化、ビジネス、およびその他の非公式なもののみを維持するという政治的な約束に背くものと批判した。その上で、このような行為は「台湾独立」分裂勢力に重大な誤ったシグナルを送るもので、中国は厳粛に抗議したとした。

同日、エジプトを訪問中の中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長は、「一つの中国」原則に背くことは中国の内政に干渉し、主権を侵犯することだとし、必ずや中国および国際社会の反対にあうだろうとした。

同日、中国の在日本大使館はメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」公式アカウントで、日本の上川陽子外相が選挙結果について祝意を示したことについて、中国の内政への重大な干渉で、「一つの中国」原則、両国の4つの政治文書(注4)の精神に背くものと批判した。その上で、強烈な不満と断固とした反対を表明し、日本に厳正な抗議を行ったとした(注5)。

(注1)中国は「台湾総統選挙」ではなく「台湾地区での選挙」と表現している。選挙の詳細は2024年1月15日記事参照

(注2)1992年に中国と台湾の代表機関が、「一つの中国」原則について形成したとされるコンセンサス。中国側の説明によれば、それぞれが自己の認識を口頭で表明し、中国側の代表機関は「(両者が)『一つの中国』原則を堅持し、国家統一実現へ努力する。ただし、双方の事務的協議では『一つの中国』の政治的含意には言及しない」との内容を示したとされる。

(注3)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(注4)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。

(注5)14日には中国の在カナダ大使館も、カナダ外務省が選挙結果に祝意を示したことに対して、抗議を行っている。

(河野円洋)

(中国、台湾)

ビジネス短信 61d0fe73bf0d4e79