IEA、2028年までの中東・北アフリカの再エネ導入容量を62GWと予測

(中東、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2024年01月22日

国際エネルギー機関(IEA)は1月11日、再生可能エネルギー(再エネ)に関する報告書「Renewables 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。報告書によると、世界全体の再エネの導入(増加)容量が2023年には510ギガワット(GW)と、前年比で約50%増になった。2028年までに、世界の再エネの導入容量は7,300GWまで拡大するという。

中東・北アフリカ(MENA)地域では、過去5年間(2017~2022年)の18.5GWから、今後5年間(2023~2028年)で3倍となる62GW以上の再エネ導入容量を見込んでいる。

国別にみると、サウジアラビアが約20GWで3分の1を占め、アラブ首長国連邦(UAE)、モロッコ、オマーン、エジプト、イスラエル、ヨルダンがこれに続く。上位7カ国で地域の再エネ導入容量の9割を占める見込みだ。

再エネを分野別にみると、MENA地域には太陽光発電に適した環境が多く、増加分の85%以上を太陽光発電が占める。各国政府が振興のための戦略・産業政策を立案している水素がこれに続き、今後5年間の再エネ発電容量の増加分の13%を占めるという。特にサウジラビア、オマーン、UAEにおいて、アジアや欧州への輸出を目的として大規模な水素生産プロジェクトが計画されている。

同報告書では、再エネ導入を加速させる手段として、プロジェクト情報や競争入札などスケジュールの早期公開、エンドユーザー負担の料金制度の導入、既存の化石燃料の貯蔵と売買契約の柔軟性の向上を提言している。

なお、2023年にUAEのドバイで開催した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)(2023年12月14日記事参照)では、各国が2030年までに発電容量を3倍にすることを合意した。

(井澤壌士)

(中東、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、アフリカ)

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