2023年の貿易、半導体の在庫調整や関連投資縮小により輸出入ともマイナス

(台湾)

調査部中国北アジア課

2024年01月17日

台湾財政部が1月9日に発表した貿易統計(速報)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年の輸出は前年比9.8%減の4,324億7,903万ドルだった(添付資料表1、表2参照)。輸入は17.8%減の3,519億2,281万ドルで、貿易収支は805億5,621万ドルの黒字となった。

国・地域別にみると、輸出は最大の輸出先である中国向けが20.9%減となったほか、香港向けも12.8%減だった。輸出全体に占める中国および香港のシェアは計35.2%となった(添付資料図1参照)。中国および香港のシェアは、米国が対中追加関税を発動した2018年以降、減少傾向が顕著になっており、2018年比では6.1ポイント低下した。ASEAN(5.4%減)、日本(6.5%減)向けも減少となった。一方、米国は1.6%増、欧州は2.9%増となり、いずれも過去最高額を達成した。米国は2018年以降、輸出に占めるシェアが増加しており、2023年は17.6%と2018年比で5.8ポイント上昇した。

輸入についても、主要国・地域で軒並み減少した。最大の輸入先である中国は16.4%減、香港は1.7%減、ASEANは23.9%減、米国は10.9%減、欧州は8.6%減となった。

輸出を商品別(注)にみると、シェアの41.3%を占める電子部品が、主要品目の半導体の在庫調整が継続したことにより10.7%減となった。このほか、卑金属および同製品(22.0%減)、プラスチック・ゴムおよび同製品(23.3%減)、化学工業品(21.5%減)をはじめ主要品目が2桁減となった。輸出のうちプラスだったのは情報通信機器のみで、PC(パソコン)および付属品が牽引し28.9%増だった。輸入は、半導体関連の設備投資の減少などにより、シェアの23.1%を占める電子部品が17.3%減、その他の品目も鉱産品(26.0%減)、一般機器(24.1%減)、化学工業品(20.4%減)と軒並み減少した。

財政部は今後の見通しについて、インフレと利上げの世界経済への影響や、地政学的衝突などの制約要因はあるものの、高性能コンピューティング(HPC:High-Performance Computing)やデータセンター、人工知能(AI)、車載用電子機器などの新興・デジタル領域における需要は引き続き拡大しており、プラスに転じた2023年第4四半期の輸出の伸びは2024年第1四半期も継続すると分析している。

(注)HSコード改正(HS2022)に伴い、2023年6月から「光学器材」に分類されていた輸出品目の一部が「情報通信機器」に分類された。また、「光学器材」の範囲が拡大され、「光学および精密機器」に名称変更された。

(江田真由美)

(台湾)

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