供給逼迫でカカオ豆の価格が1970年代以来の高値に

(ガーナ、コートジボワール)

アクラ発

2024年01月22日

国際カカオ機関(ICCO)は2023年11月のカカオ豆市場に係るレポートにおいて、2023/2024年収穫期のカカオ豆の供給が激減したと発表した。コートジボワールとガーナの2カ国で世界のカカオ豆生産の約70%を占めるが、豪雨が農作業や病気のまん延、運搬作業に影響を及ぼしたことが背景にある。

ガーナでは、2023/2024年収穫期のシーズン開始の2023年10月から11月23日までのカカオ豆の集荷量は18万9,470トンと推定され、前シーズンの同時期(38万3,496トン)に比べ51%減少している。コートジボワールでは、カカオ豆の集荷量は2023年12月3日までに54万8,000トンに達し、前シーズン同期比35%減となった。

ガーナでは、カカオ公社が毎収穫期(10月)(注)前にカカオ豆の買い取り価格「ファームゲート価格」を決めて買い取るシステムだ。ファームゲート価格は例年、上昇もしくは前シーズンの価格をキープするが、昨シーズンはファームゲート価格の上昇率が特段高かったというわけではなかったため、密輸出が頻発した。今シーズンはファームゲート価格の上昇を見込んだ農家による買い占めや、ファームゲート価格の違いによる近隣国への密輸出などの供給逼迫要因を緩和するため、カカオのシーズン開始を2023年10月1日から9月8日に早め、ファームゲート価格を63%増の1トン当たり1,837ドルに引き上げたが、天候不順により結果的に供給量は減少した。

国際市場では、カカオ豆の先物価格は2023年11月末までにロンドンで1トン当たり4,522ドル、ニューヨークで4,458ドルに達した。10月の2023/2024年シーズン開始時の価格と比較すると、現在の価格はロンドンで23%、ニューヨークで27%の上昇となっている。天候に起因する供給逼迫により、カカオ豆の先物価格は1970年代以来の高値となっており、国際カカオ機関は、短期的には価格下落の兆候はなく、シーズンが進むにつれて、需要、供給、そして価格がどのように推移していくかが明らかになるだろうと述べている。

ガーナの農家からカカオ豆を購入する資金については、2023年11月、ガーナ議会はカカオ公社が約30の国際銀行から8億ドルのシンジケートローンを契約することを承認した。残り必要とする4億ドルはカカオ豆の貿易企業の資金やその他の方法で調達する見込みだ。このローンは、カカオ公社が毎年契約しており、今回の融資金利は約8%とカカオ豆のシンジケートローン開始以来、最も高かった。約5億4,100ドルにのぼる最初の融資は12月22日にガーナ中央銀行経由で既に受領されており、残りは2024年1月中に受領予定となる。

(注)2023年10月1日~2024年9月30日。ただ、上述のとおり、今期ガーナではシーズン開始を2023年9月8日に前倒ししている。

(アチェンポン・フランク)

(ガーナ、コートジボワール)

ビジネス短信 d2ed260b79aaa8f8