2023年第4四半期の経済成長率は前期より上昇も2024年は鈍化の見込み

(モロッコ)

ラバト発

2024年01月22日

モロッコ高等計画委員会(HCP)は1月4日、2023年第4四半期と2024年第1四半期のマクロ経済動向を公表した。

2023年第4四半期の経済成長率(GDP成長率、前年同期比)は、第3四半期の2.8%から3.3%に上昇した。天候不良で農業が振るわなかったが、製造業やサービス産業が牽引した。9月のアル・ハウズ大震災の復興需要で建設業にプラス成長がみられたが、収入減少や食糧価格上昇の影響などを受け消費支出には大きな伸びはなかった。インフレ率は2023年第1四半期にピークに達した後、下降トレンドに入り、第1四半期から第4四半期まで9.1%、6.8%、4.9%、3.9%となった。

2024年は第1四半期の経済成長率を2.4%と見込み、前年同期の3.5%から低下するとしている。主要輸出産業でもある農業は雨期の冬も雨量が少なく、不安定な気候により農作物の作付けに重大な遅れが生じているとされる。雨季シーズン最初の4カ月の雨量は、平均的な年の53%にとどまるという。なお、2024年第1四半期に例年の雨量があると、農業分野の年間成長率を0.5ポイント押し上げるとしている。

農業以外では、化学や輸送機器、自動車部品関連に牽引され、製造業に2.9%の成長を見込む。また、リン鉱石採掘など鉱業分野も回復が見られ、9.4%の成長が見込まれる(前年はマイナス11.8%)。

内需は、引き続き成長の主要エンジンと位置付けられている。2024年第1四半期の家計消費支出は1.2%増を見込む。気候変動の影響を受けやすい地方部の消費者の収入減速は家計消費に負のインパクトをもたらす一方、公的部門支出の改善はプラスに影響する。

投資は、非金融セクターが資金調達コストの上昇トレンドを嫌うことで減速を予想する。

自動車関連品の輸出は堅調で、リン鉱石関連品の輸出の拡大傾向も変わらないが、2024年第1四半期の財・サービス輸出の伸びは11.4%と前年同期15.5%から減速を見込む。一方、輸入は、国内消費や国内製造業向け半製品の輸入の改善で堅調な成長が見込まれる。

(本田雅英)

(モロッコ)

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