台湾、ナウルとの断交を発表

(台湾、中国、ナウル)

調査部中国北アジア課

2024年01月17日

台湾外交部は1月15日、大洋州地域のナウルと外交関係を終了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。外交部は、ナウル政府から国連第2758号決議(注)と「一つの中国」の原則により台湾と断交するとの情報を受け、主権と尊厳を守るためにナウルとの外交関係を即日終了することに決めたと説明した。ナウルは同日、中国との外交関係樹立を発表した。ナウルは過去に台湾と外交関係を有していたが、2002年7月に1度断交し、その後中国と国交を樹立、2005年5月に再び台湾との外交関係を樹立していた。台湾との外交関係を持つ国は、1978年の米国との断交以降最も少ない12カ国外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなった。

台湾外交部は、ナウルとは2023年10月25日のデービッド・アデアン大統領就任以降、各種協力について積極的に相談してきたが、同国は巨額の経済援助を求め、中国の援助案と比較していたと指摘。長年にわたって台湾当局が同国に対して行ってきた援助と友情を顧みず、中国の金銭的誘惑に目がくらんだと非難した。また、世界の多くの民主国家が台湾の総統選挙での民主の勝利を祝う中、中国はこのような方法で台湾に圧力をかけ、国際社会秩序の安定に衝撃を与えているとした。

台湾総統府も同日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、中国は以前から台湾の外交空間を圧迫し続け、台湾と国交を結ぶ国に対する利益誘導によって台湾の外交空間を狭めてきたが、これらは台湾人民の世界に向かう意思を阻むことはできず、「中華民国と中華人民共和国が互いに隷属しない」という事実を変えることはできないとコメントした。

中山大学アジア大洋州地域研究所の郭育仁所長は「これはただの始まりにすぎず、中国からの軍事、外交、経済貿易を組み合わせた攻撃は今後ますます深刻になり、5月20日の新総統就任を経て初めて落ち着くだろう。中国は(米国)大統領選での争点となるのを避けたいはずだ」と指摘した(「聯合報」2024年1月15日)。

(注)通称はアルバニア決議。中国の唯一正統な代表は中華人民共和国とする。アルバニアなど23カ国が協同で国連事務局に提出し、1971年10月25日に第26回国連総会で採択された。

(江田真由美)

(台湾、中国、ナウル)

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