2023年GDP成長率はマイナス0.55%、エルニーニョ現象と内需低迷が影響

(ペルー)

リマ発

2024年02月19日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は2月15日、2023年のペルーの実質GDP成長率が前年比マイナス0.55%と発表した。2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率はまだ発表されていないが、中央準備銀行(BCR)は12月に既に同年成長率についてマイナス0.50%との見通しを示しており、今回の発表はそれを裏付けるかたちとなった。INEIによると、マイナス成長の背景には主に製造業(前年比マイナス6.65%)の低迷が影響しているという。

その内訳として、繊維製品や皮革製品などのアパレル産業や、果物や野菜類の加工産業などは、それぞれ前年比マイナス23.83%、マイナス37.51%と、いずれも大きく後退した。果物や野菜類の加工産業は特に6年ぶりの強い東太平洋エルニーニョ現象による影響を受けた。その他にも漁業、金融保険業、建設業、通信産業などの分野も成長が低迷した。

分野別で最も大きく成長率が後退したのは漁業で、前年比マイナス19.75%だった。特に海水漁業の成長率はマイナス21.78%と、淡水漁業のマイナス6.31%を大きく上回った。その背景として、魚粉や魚油の原料のカタクチイワシの前期漁(冬漁)がエルニーニョ現象による影響で解禁されなかったため、漁獲量が前年比でマイナス50.67%と大きく減少したことがある。

金融保険業分野でも、4月以降の内需低迷の影響を受け、前年比マイナス7.85%と減少した。背景には、小規模企業(マイナス10.54%)や零細企業(マイナス44.76%)への貸し付けが減少したほか、住宅ローン融資なども前年比でマイナス10.29%と低迷した。

建設業では、民間プロジェクトなどの低迷から、前年比でマイナス7.86%と落ち込んだが、中央政府や地方自治体などによる公共事業の推進(前年比2.04%増)が多少プラスに働いた。

通信産業は、主に携帯電話と固定電話の需要低下による電話サービス全体の低迷(マイナス9.31%)や、SNS上でやり取りされるメッセージなどを含むデータ通信の減少が大きく影響し、全体で前年比マイナス5.80%となった。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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