トルコとエジプト、経済関係の強化に期待

(トルコ、エジプト)

イスタンブール発

2024年02月28日

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は2024年2月14日、約11年ぶりにエジプトを公式訪問し、同国のアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談した(2月15日付「Ahram Online」)。2013年7月にエルシーシ大統領が、ムハンマド・モルシ前大統領から政権を奪取して以来、両国の関係は冷え込んでいた(2月14日付「euronews」)。今回の訪問によって、トルコは2021年のアラブ首長国連邦(UAE)、2022年のサウジアラビアとの関係改善に続き、ムスリム同胞団対策を巡るスンニ派アラブ諸国との関係改善が進展した。

両国の大統領は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を終結させることで連携し、同地支援を強化していくこと、両国の貿易額を150億ドルに拡大させることなどで合意した。トルコとエジプトは2007年に自由貿易協定(FTA)を発効させており、2国間の貿易は、政治的な問題を抱えていた時も極端に悪化することなく続いていた。2023年はトルコからの輸出が26.7%減の33億3,900万ドル、輸入が42.9%増の36億4,500万ドルだった(TUIK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

エジプトのアフマド・サミール貿易・産業相は、2国間関係の改善を受け、トルコの投資家からの関心が高まっていると述べた(2月14日付「Egypt Today」)。トルコからエジプトへの投資は、2007年ごろから繊維・衣料品産業を中心に米国向け輸出拠点として資格産業区域(QIZ、エジプトWTO・他協定加盟状況参照)への進出がみられており、エジプト商工会議所連盟によると、両国の関係改善を見越し、人件費と輸送費の低コストの恩恵を受けるべく、エジプトへの新規投資を検討し始めているトルコ企業も多くみられるという。

また、2月14日の首脳会談に先立って2月4日には、トルコ製ドローンなど技術提供で合意したと伝えられ(2月5日付「DAILY SABAH」)、また14日の会談では、トルコ国営パイプライン輸送会社(BOTAŞ)とエジプトガス公社(EGAS)との間でも関係強化で合意するなどの動きがあった(2月15日付「DAILY SABAH」)。

(中島敏博)

(トルコ、エジプト)

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