大統領選、ジョコ路線継続を掲げるプラボウォ氏が勝利宣言

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年02月15日

有権者数が約2億488万人に上り、「世界最大の直接選挙」とも呼ばれるインドネシアの大統領選挙の投票が2月14日に実施された。複数の現地調査機関の速報によると、国防相を務めるプラボウォ・スビアント氏(グリンドラ党党首、大統領候補)と、ジョコ・ウィドド大統領の長男ギブラン・ラカブミン氏(中部ジャワ州スラカルタ市長、副大統領候補)の組の得票率が57~59%となり、当選の可能性が高まっている。

プラボウォ氏は14日夜、総選挙管理委員会(KPU)による公式発表を待つとしながらも、ギブラン氏とともに勝利宣言を行い、「われわれは全てのインドネシア人のための大統領と副大統領となる」と述べた(「CNA」2月14日)。

大統領選挙には、プラボウォ氏とギブラン氏の組に加え、アニス・バスウェダン元ジャカルタ特別州知事とムハイミン・イスカンダル国民覚醒党(PKB)党首、ガンジャル・プラノウォ前中部ジャワ州知事とモハンマド・マフッド政治・法務・治安調整相の3組の正副大統領候補が立候補した。現職のジョコ大統領が再出馬できないことから(注1)、ジョコ政権の路線継承か変革かが主な争点となった。

プラボウォ氏は、ジョコ政権の路線継承を色濃く打ち出した選挙戦を展開した。ジョコ政権が進める産業の高付加価値化政策(注2)を鉱物資源、海洋資源などの21分野まで拡大するとしたほか(2024年1月18日記事参照)、国内の地域間格差是正のため首都移転計画を継続する方針を示した。ギブラン氏を副大統領候補に据えたことによって、ジョコ大統領支持者の票がプラボウォ陣営に流れたとの見方もある。

総選挙法2017年第7号では、「大統領と副大統領候補の組は、選挙で50%以上の票を獲得し、かつ、インドネシア全州のうち少なくとも半分以上の州で最低20%の票を得た場合に、大統領、副大統領に任命される」と規定している。要件を満たす候補者の組がいない場合は、6月26日に得票数第1位と第2位の候補者の組による決選投票が行われる。プラボウォ氏・ギブラン氏の組が州別得票率にかかる要件も満たしている可能性が高いとする報道もあるが、正式な集計結果を待つ必要がある。KPUPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による正式発表は3月20日までに行われる。

(注1)憲法で、大統領の任期は1期5年、再選は1回までと定めている。ジョコ大統領は2014年から大統領を務め、現在2期目となっている。

(注2)サプライチェーンの川下を含めた高付加価値化のことで、政府は下流化(hilirisasi)という単語を多く用いる。現在、鉱業の高付加価値化を目指し、ニッケルの未加工鉱物状態での輸出を2020年1月から禁止しており、その他の鉱物についても輸出禁止を示唆している(2023年3月14日記事参照)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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