並行輸入「影響ない」が増加、ビジネス停滞で通関件数減少が影響、ジェトロ調査

(ロシア、日本)

調査部欧州課

2024年02月20日

ジェトロが1月17~25日にロシア進出日系企業を対象に実施した「通関アンケート」(注)によると、ロシアから撤退したブランドなど、特定の品目の並行輸入を認めるロシア政府の措置(2022年5月6日記事参照)について、3割を超える企業が「影響はない」と回答した(添付資料図参照)。前回調査(2022年7月実施)と比べて「影響がある(マイナスの影響)」とした回答の割合が減り、「影響はない」の割合が増加したのは、日系企業による対ロビジネスの縮小や停止が続く中、企業の通関件数が激減していることが主な理由と考えられる。

一方で、1割が「影響がある(マイナスの影響)」と答えた。専門商社Aは、競合他社が並行輸入を行ったことで市場価格が乱され、その結果、売り上げが減少しているとコメント。対策はなく、他社の判断に委ねている状況という。その他の企業からも、「自社ブランドのイメージが悪化する」「これまでコントロールできていた販路網が崩れる」「並行輸入の活性化が模倣品の急増につながっている可能性がある」といった懸念が寄せられた。

中にはプラスの影響を指摘する回答も

わずかながら「影響がある(プラスの影響)」の回答もみられた。ロシアでの活動を一部停止しているメーカーBは「地場のディーラーが並行輸入業者から直接部品を買うことができるようになったため、それなりにサービスが継続できている」と回答した。ほかにも、「自社製品のプレゼンスを多少でも維持できるという観点では並行輸入はプラスともいえる」といったコメントもみられた。物流や決済の困難、自主規制などから、日系企業が主体的にロシアに商品を供給できない現状で、並行輸入が一定程度、プラスに作用している面もある。

税関の動きに関しては、ロシア国内で活動を継続するメーカーCから「第三者が並行輸入許可リストにないわが社の製品を中国から輸入しようとした際に、ロシア税関から輸入の可否に関する照会が入り、これを拒否したところ、輸入は却下されたもよう」との指摘があった。並行輸入が許可されない品目については、従来どおり、権利者の許可がない場合にロシア税関が商品の国内への流入を阻止しようとする動きがあるようだ。

(注)「通関アンケート」は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会通関委員会(事務局:ジェトロ・モスクワ事務所)が毎年実施している。対象は在ロシア日系企業。今回は56社(製造業7社、非製造業49社)から回答を得た。

(欧州課)

(ロシア、日本)

ビジネス短信 4a4373c0aa14adf0