2023年の海外労働者派遣、日本向けが最多で8万人、過去最高水準に回復

(日本、ベトナム)

調査部アジア大洋州課

2024年02月01日

ベトナム労働・傷病兵・社会問題省傘下の海外労働管理局によると、2023年のベトナムから海外への労働者派遣総数は15万9,986人だった。前年(14万2,779人)より12.1%増加し、同省が定めた年間目標(11~12万人)も上回った。

国・地域別では、日本が8万10人(前年比18.9%増)で、前年に続いて最大の派遣先となった(添付資料表参照)。次いで、台湾が5万8,620人と多く、この上位2カ国・地域への派遣が全体の9割弱を占めた。3位以下は、韓国、中国、ハンガリー、シンガポール、ルーマニア、ポーランド、香港、マレーシア、サウジアラビア、ロシア、マカオが続いた。

日本への労働者派遣数は、新型コロナウイルス感染対策の入国制限によって2020年と2021年は落ち込んだが、その反動もあり、2022年は前年と比べて約3.5倍に回復。2023年は過去最多の2019年(8万2,703人)に迫る水準まで増加した(添付資料図参照)。ただし、足元では円安の進行が日本での就労の懸念材料になっている。

また、ベトナムは韓国の雇用許可制(EPS)に基づく労働者の派遣を増やす方針を示しているほか、ドイツ、オーストラリア、ギリシャなど、多くの国と労働協力に関する覚書や協定の締結を進めている状況だ。

海外労働管理局によると、2024年は12万5,000人を海外へ労働者派遣することを目標とし、欧州やオーストラリアといった新たな潜在市場への拡大も図るという。

日本で働くベトナム人は過去最多の52万人

ベトナム人は日本での外国人労働者数の4分の1を占め、国籍別で最多だ。日本の厚生労働省の発表(1月26日)によると、ベトナム人労働者数(2023年10月末時点)は前年より5万5,980人(12.1%)増の51万8,364人で、初めて50万人を超えた(2024年1月31日記事参照)。ベトナム人は製造業(20万1,128人)を中心に、建設業(6万2,026人)、卸売・小売業(5万7,492人)、宿泊・飲食・サービス業(5万3,998人)など、日本の幅広い産業を支えている。在留資格別では、ベトナム人は技能実習(20万9,305人)が最も多く、専門的・技術的分野の在留資格(15万9,962人)、資格外活動(10万1,530人、注)、特定活動(2万7,301人)と続く。

(注)有している在留資格とは異なる収入活動を、許可を得て行う場合。留学生のアルバイトなども該当する。

(庄浩充)

(日本、ベトナム)

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