2023年の鉱工業生産、前年比3.5%増、製造業が牽引

(ロシア)

調査部欧州課

2024年02月13日

ロシア連邦国家統計局は1月31日、2023年の鉱工業生産は前年比3.5%増と発表した。製造業が同7.5%増と牽引した。その一方で、鉱業は同1.3%減だった(添付資料表参照)。天然ガスが7.5%減、液化天然ガス(LNG)が2.4%減少した。原油生産は2023年3月以降非公開となっているが、アレクサンドル・ノワク副首相は2月6日、連邦上院での会議で、2023年の生産量は前年比0.8%減だったと報告した(タス通信2月6日)。

経済発展省は、製造業が好調だった要因について、内需型産業による供給増加(前年比9.2%増)と分析している。製造業のうち特に伸びが大きかった業種は、a.コンピュータおよび電子・光学機器(前年比32.8%増)、b.金属製品(同27.8%増)、c.自動車以外の輸送機器(同25.5%増)、d.電気機械(同19.0%増)、e.自動車(同13.6%増)だった(注)。

産業商務省関係者は製造業の急速な回復を「ロシアの産業が新たなマクロ経済環境に適応し、回復するとともに、成長が継続していることを示している」と評価し、この成長が2024年の一層の経済構造の改革と新たな産業分野の発展の基盤になるとの自信を示した(タス通信1月31日)。

その一方で、時系列での動きを見ると、必ずしも楽観できないとの指摘もある。連邦国家統計局によると、製造業の前年同月比の伸びは2023年第4四半期(10~12月)に入って鈍化傾向にある。マクロ経済分析・短期予測センターのウラジーミル・サリニコフ実物経済分野発展分析・予測部門長は、通年の結果が好調だったため見逃されがちだが、製造業は下半期に勢いが落ちていると指摘する(RBK1月31日)。マクロ経済分析・短期予測センターの分析レポート(1月31日)によると、連邦国家統計局の季節調整済みの指標で見た場合、同年5月以降、鉱工業生産が停滞傾向にあると分析している。

(注)これらの中には軍需関連製品が含まれるとの指摘もある(RBK1月31日)。

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(ロシア)

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