欧州産業界、2040年目標案達成には脱炭素関連投資の促進が必要と指摘

(EU)

ブリュッセル発

2024年02月16日

欧州委員会が26日に発表した2040年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で90%削減するよう勧告する政策文書(2024年2月14日記事参照)に関し、欧州産業界からは、脱炭素関連投資の促進策などを求める声が上がった。

欧州鉄鋼連盟(EUROFER)や欧州化学工業連盟(Cefic)などエネルギー集約型産業の13団体は27日、共同声明を発表し、2040年目標案の達成には、製造業の基盤であるエネルギー集約型産業部門の根本的な再編と大規模な関連投資が必要と指摘した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。地政学リスクが高く、欧州経済が厳しい状況にある中で、目標案が発表されたことを踏まえ、近年の国際情勢の変化も考慮した投資促進策の策定をEUに要請した。策定に向けては、(1)電力、水素、二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留分野での投資拡大などによるエネルギー関連インフラ整備の強化、(2EUや加盟国の財政支援ルールの簡略化や許認可の迅速化、(3)欧州エネルギー集約型産業の国際競争力の維持のための施策や、現実的な20312040年の残余産業排出量への対応枠組みの策定などが必要だとした。

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)は25日に政策提言書を発表。2040年目標案を歓迎し、目標は野心的であると同時に、EUの産業競争力を損なうことなく実現可能で柔軟な目標でなければならないとした(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今後の2040年目標案の法制化議論では、技術中立性の確保や、企業の投資促進策、2030年目標(1990年比で少なくとも55%削減)の達成に向けたエネルギー、環境政策の評価を行うことなどを提言。ネットゼロおよびデジタル技術を活用したインフラ整備強化も提言し、デジタル化、電力網(グリッド)整備、エネルギーシステム統合やエネルギー効率分野での投資拡大に向けた施策の重要性を強調した。また、EUは戦略的自律を強化しながら、ネットゼロ技術分野の開発・実装を推進し、EU発の技術の輸出競争力も確保する必要があるとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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