ジェトロ、出雲で高度外国人材の活用に関するセミナーを開催

(島根)

島根発

2024年02月26日

ジェトロは2月16日、出雲市内で高度外国人材の活用に関するセミナーおよび情報交換会を島根県との共催で実施した。会場参加とオンライン参加のハイブリッド形式で開催した本セミナーの参加者は、高度外国人材の採用、育成、定着に関心のある企業関係者ら合計で約70人に上った。業界別では、建設関連が最も多かったものの、IT、金融、金属加工、食品など多岐にわたった。

セミナーに登壇したジェトロ高度外国人材スペシャリストの加藤将司氏は、日本の人口動態を背景とした外国人材活用の必然性を説くとともに、「外国人材に職場として選ばれるためには、会社自体の制度を抜本的に見直すことや、一度自社を退職した後に、再度の就職を希望するカムバック社員を歓迎して定着率を高めていくことが重要」と指摘した。

また、島根大学の大谷浩理事からは、同大学の留学生の就職動向、日本国内での就職を選択する学生の特徴を紹介するとともに、今後、島根県内での留学生の就職を拡大させていくうえで、企業見学やインターンシップ受け入れ機会の提供に加えて、「就職情報を提供いただく際は、やさしい日本語による情報発信を心掛けてほしい」と事業者への協力を呼びかけた。

その後、People Cloudの牧野寛CEOは、ウクライナ戦争以降、世界各国への流出が進む東欧のIT人材を出雲へ呼び込む自社事業を紹介した。山陰設備工業の原真士代表取締役も、施工管理業務および設計業務を担う2人の高度外国人材(注)を含む計8人の外国人従業員を雇用する自社の取り組み事例を紹介した。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

原氏は「今回のイベントをきっかけに、業種の垣根を越えて、同じ問題意識をもつ事業者とつながることができた。今後も、自社事例の発信を通して、共感の輪を広げていきたい」と感想を述べた。

ジェトロでは、日本企業における高度外国人材の活躍を後押ししており、無料で合同企業説明会や育成・定着講習会への参加、専門家への相談ができる支援サービス「外国人材活躍支援パッケージ」を提供するとともに、ポータルサイトにおいて高度外国人材の受け入れに関する関係省庁の最新情報や取り組みを集約して発信している。

(注)大学・大学院卒業同等程度の最終学歴を有し、専門性の高い技術や知識を身につけた外国籍の人材のこと。在留資格「高度専門職」と「専門的・技術的分野」に該当するもののうち、原則、「研究」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「法律・会計業務」に該当するもの。

(薄木裕也)

(島根)

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