1月の港湾貨物取扱量は6.2%減、新たな砕氷船建造を開始

(ロシア)

調査部欧州課

2024年02月27日

ロシア商業海港協会の発表(2月14日)によると、2024年1月のロシア海港での貨物取扱量は前年同月比6.2%減の7,100万トンだった(添付資料表参照)。ウラジーミル・プーチン大統領は新たな原子力砕氷船の建造を許可し、国を挙げて注力する北極海航路の整備を進める。

貨物取扱量を品目別で前年同月と比較すると、コンテナ貨物(5.5%増)、鉱物質肥料(32.4%増)、液化ガス(13.3%増)、食品(11.3%増)が伸びた。一方で、石炭(14.3%減)、鉄鋼(5.8%減)、鉱石(20.1%減)、原油(3.4%減)、石油製品(18.0%減)が減少した。海港所在海域別では、カスピ海域が6割増と増加し、北極海域が5.4%減、バルト海域が4.3%減、アゾフ・黒海域が7.1%減、極東海域が9.1%減だった。

北極海航路の整備を進めるロシア政府は、北極海周辺で採掘される天然資源のアジア太平洋地域への輸送を安定的なものにすべく、北極海での輸送船を護衛する役割を果たす原子力砕氷船の建造にも注力する。プーチン大統領は1月26日、LK-60Ya級原子力砕氷船「レニングラード」(注1)の起工式に参加し、建造について許可を出した。LK-60Ya級原子力砕氷船は、砕氷性能もしくは耐氷性能を証明する公式等級のアイスクラス(注2)の中でも最上位の砕氷性能を持つPC1に相当し、北極圏西部では通年、夏と秋は北極圏東部で運用できるよう設計されている。この原子力船の機能性により、氷上でも晴天でも、船舶(大型船を含む)の護衛、船舶の支援、救助活動のための先導的な砕氷船として使用することができるという。

「レニングラード」はLK-60Ya級原子力砕氷船の6番艦に数えられ、7番艦の建造も予定されている。1番艦である「アルクチカ」(注3)、2番艦である「シビーリ」(注4)、3番艦である「ウラル」は既に就役中。

(注1)レニングラードはサンクトペテルブルクの旧称。

(注2)アイスクラスとは、船体補強や設備・装備などが一定基準に達している船に対して、その砕氷性能もしくは耐氷性能を証明する公式等級。例えば、国際海事機関(IMO)はPC1~7までの7段階の極地表海船階級を設けている。ロシアでも独自の階級を設けている。

(注3)ロシア語で北極圏の意。

(注4)ロシア語でシベリアの意。

(後藤大輝)

(ロシア)

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