米連邦取引委員会、スーパーマーケット大手クローガーの買収計画阻止へ

(米国)

シカゴ発

2024年02月28日

米国連邦取引委員会(FTC)は2月26日、スーパーマーケットチェーン大手のクローガー(本社:オハイオ州)による同業のアルバートソンズ(本社:アイダホ州)の買収計画が反競争的行為につながるとし、計画の阻止を求める訴えを起こしたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この買収計画は、実現すれば米国史上最大のスーパーマーケット合併計画で、買収額は246億ドルに上る。

FTCは、スーパーマーケット大手の両社による合併計画が実現した場合、他社との競争がなくなることによって、食料品やその他の生活必需品の価格が上昇すると指摘している。さらに、商品の品質と顧客サービスが低下し、労働条件の悪化を招くと主張している。

クローガーは全米35州に2,750店舗を展開し、雇用者数は約43万人、アルバートソンズは34州に2,200以上の店舗を展開し、雇用者数は約29万人を擁している。食品業界情報サイトのフード・インダストリーによるとスーパーマーケットチェーン業界では収益額で1位がクローガー、2位がアルバートソンズだ(2023年業績)。なお、業態を問わない場合の食料品の収益額では、クローガーは1位のウォルマートに次ぐ2位、アルバートソンズは3位のコストコに次ぐ4位だ(注)。

クローガーは今回のFTCの訴えに関して、「合併は、米国の消費者にとってさらなる低価格の商品と選択肢の拡大を意味する」「当社は2012年以来、高賃金の組合雇用を10万人以上増やしており、今回の合併は組合員の雇用を確保する最善の方法だ」と主張した。さらに「この(提訴の)判断はむしろ、ウォルマート、コストコ、アマゾンのような大規模で組合非加入の小売業者による食料品業界の支配力をさらに高めることを可能にするだけだ」として、FTCの主張と対立している。同社は発表で、両社の合併による店舗閉鎖がないことや、医療・年金給付、賃金交渉、現場従業員の雇用維持を含む現行の労働協約を全て維持することを保障している。

(注)2023年11月時点。5位以下は、アホールド・デレーズ(本社:オランダ)、パブリックス・スーパーマーケッツ(本社:フロリダ州)、H-E-B(本社:テキサス州)、アマゾン(本社:ワシントン州)、ターゲット(本社:ミネソタ州)、マイヤー(本社:ミシガン州)。

(星野香織)

(米国)

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