2023年の欧州の空港旅客数、新型コロナ危機前に迫る水準に回復

(欧州、EU)

ブリュッセル発

2024年02月13日

国際空港評議会(ACI)の欧州地域総会は2月1日、2023年の欧州地域(注1)の空港利用者(旅客)数は前年比19%増の約23億人だったと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。新型コロナウイルス感染拡大前(2019年)を5.3%下回る水準にまで回復した。特に国際線が前年比21%増と好調で、国内線の11.7%増を大きく上回った。

一方、依然として欧州地域の半数以上の空港では、旅客数は2019年の水準を下回っており、回復状況は国や空港により異なる。ACIのオリビエ・ヤンコベック事務局長は要因として、地政学的リスクと航空市場の変化を挙げた。

地政学的リスクについては、ウクライナ、イスラエル、フィンランドや東欧諸国で特に旅客数の回復が遅れている。新型コロナ感染拡大以降の航空市場の変化としては、ブレジャー(注2)と呼ばれる新たな需要の拡大がある。また、超格安航空会社は増便に当たって路線を精選し、大手航空会社はハブ空港を集約する動きがある。こうした市場変化により、インバウンド需要に支えられている空港が恩恵を受ける一方、空港間の旅客や運航便獲得競争が激化しているとした。

2024年の旅客数については、空港や航空会社への供給圧力やレジャー需要動向などへの懸念があるが、前年比7.2%増と、2019年を1.4%上回る水準に達すると予測した。

なお、欧州の空港での2023年貨物輸送量は、地政学上のリスク、通商関係の悪化やサプライチェーンの混乱を受け、前年比2.9%減だった。しかし、2019年比では1%減と新型コロナ感染拡大前の水準を維持した。

(注1)EU加盟国と、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、英国、スイス、アルバニア、アルメニア、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、イスラエル、カザフスタン、コソボ、北マケドニア、モルドバ、モンテネグロ、ロシア、セルビア、トルコ、ウクライナ、ウズベキスタンの計48カ国。

(注2)Business(ビジネス)とLeisure(レジャー)を組み合わせた造語。出張先などで滞在を延長するなどして余暇を楽しむこと。

(滝澤祥子)

(欧州、EU)

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