再エネ発電電力量、2023年は前年比15.4%増

(イタリア)

ミラノ発

2024年02月01日

イタリアの送電会社テルナは1月22日、2023年の国内の電力消費量などについて発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同年の電力消費量は306.1テラワット時(TWh)で、前年に比べて2.8%減少した。電力需要での再生可能エネルギー(再エネ)の割合は36.8%で、前年の31.0%から増加した。電源別にみると、水力は2022年の干ばつによる発電電力量の減少から回復したほか、太陽光が30.6TWh、風力が23.4TWhと、過去最高の発電電力量となった。

工業の電力消費量も減少しており、エネルギー集約型企業約1,000社の消費動向を調査するテルナのIMCEI指数は前年から3.9%減少した。

発電電力量については257TWhで、前年比で6.4%減少。一方で、再エネの発電電力量は15.4%増加した。電源別では水力が伸びて36.1%増、風力は15.1%増、太陽光は10.6%増となった。一方、火力は17.4%減、地熱は1.9%減だった。また、電力の輸出量は前年から24.4%減、輸入量は15.2%増となり、他国とのエネルギー交換のバランスが19.2%増加した。これについて、テルナは、電力システムの効率的で安全な手段として相互接続が貢献し、その結果、上述した火力の17.4%減や、石炭火力の41.7%減などにつながったとしている。

再エネの設備容量は2023年に約5.8ギガワット(GW)増加し、2022年の増加量と比較すると、2.7GW上回った。再エネの加速は顕著で、2021年は約1GW増、2022年は約3GW増と年々増加している。

テルナが12月末に発表した月次レポートによると、太陽光の設備容量は2023年に5,234メガワット(MW)増加し、前年の2,482MW増から2.1倍となった。最も増加した地域はミラノを擁する北部ロンバルディア州で804MW増、次いで、ベネチアを擁する北部ベネト州が621MW増、トリノを擁する北部ピエモンテ州が519MW増だった。風力の設備容量は2023年に487MW増で、2022年の526MW増と比べると7.0%減少した。

再エネ比率が伸びているという結果が出たものの、1月22日付「イル・ソーレ・24オーレ」紙は楽観的に捉えるべきではないと指摘している。理由の1つとして挙げているのが、他の欧州各国での再エネ比率の高さだ。ドイツやスペインでは発電電力量の再エネ割合は50%を超えており、フランスも原子力を含めるとその割合は高くなる。また、過去10年間の増加率をみても、欧州各国に追いついていないと分析する。同記事でイタリアのエネルギー大手エジソンのニコラ・モンティ最高経営責任者(CEO)は、正しい方向に進んでいるとしながらも、蓄電や送電網、水力発電への投資と技術革新など、体系的なビジョンが必要だとコメントしている。

(平川容子)

(イタリア)

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