政策金利6ポイントの大幅引き上げ、為替の公定レートは大幅な下方修正

(エジプト)

カイロ発

2024年03月12日

エジプト中央銀行(CBE)は3月6日、政策金利を6ポイント引き上げて27.75%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ロシアによるウクライナ侵攻以降、CBEは度々利上げを実施してきたが、一度の利上げ幅としては今回が最大だ(2023年8月7日2024年2月5日記事参照)。

CBEは今回の利上げについて、インフレ抑制を確実にするために金融引き締めを加速したと説明した。CBEが掲げる目標は2024年第4四半期までにインフレ率を平均7%に抑えることだが、2024年1月の前年同月比インフレ率は29.8%で目標を大きく上回る。今後も、CBEは中期的な物価安定のために利用可能な手段をちゅうちょなく実施すると述べている。

また、CBEは、インフレの要因が公定レートとドル高の並行市場交換レートとの乖離にあるとしたうえで、為替レートを市場原理に委ねることを認めるとあらためて表明した。CBEは過去にも同様の発表を行っているが、2023年初以降、公定レートは1ドル=約31エジプト・ポンドの水準を1年以上にわたり維持してきた(2024年1月29日記事参照)。今回、CBEが発表する公式レートは1ドル=49.5エジプト・ポンドまで引き下げられた(添付資料図参照)。

CBEは、今回の措置はエジプト政府および他国政府、国際機関の支援による経済改革の一環で、これらの措置の成功を見据えて外国為替流動性を維持するための資金を確保したと述べている。2024年2月末時点の外貨準備高は353億ドルと、前月までとほぼ同じ水準にとどまった。アラブ首長国連邦(UAE)が350億ドルの大型直接投資案件を発表したほか(2024年2月27日記事参照)、IMFがエジプト当局との経済改革プログラムに関する協議について進展があり、主要な要素に合意したと表明している。

(塩川裕子)

(エジプト)

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